うつの8割に薬は無意味 (朝日新書)
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抗うつ薬が本当に有効なのは、うつ病患者の2割にすぎない。しかし医療機関で実際に行われている治療のほとんどは、薬剤を処方するだけ。なぜ、8割の患者は「無意味な」薬を与えられ続けるのか? この現状をもたらせた医学界、製薬業界にどんな問題があるのか? 薬物療法偏重のうつ病治療の実態を徹底批判し、正しい治し方を説く。
よく知られているように、日本では今、心に病をもつ人が急増している。厚生労働省の患者調査によれば、うつ病(躁うつ病を含む)患者数は2008年に100万人を超えた。「うつは、こころの風邪」キャンペーンと、国際的な「うつ病診断基準」の変更が、うつ病を「身近なもの」にしたからだ。それにともなって、メンタルクリニックも激増した。
現代人に不安や焦燥感はつきものだが、そんな「悩める健康人」も病人と診断され、長期にわたって無意味な薬を投与されかねない。
著者は、獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授。臨床にも携わる。「うつは生活習慣病」が持論で、本当に患者のためになる治療を教える。