ファン必携のホームズ全集
★★★★★
文庫本1冊の値段 (900円前後) でシャーロック・ホームズの全作品が読めてしまうという、超お買い得の1冊。
しかも、ストランド・マガジン掲載当時のさし絵もすべて収録。
さし絵の品質は、全体的に光文社文庫のものよりはキレイですが、デジタル画像のジャギー(輪郭のギザギザ)が目につくものもあります。
本のサイズは、枕にできそうな大きさと厚味があるため、持ち歩きには不便ですが、そのぶん活字が大きく行間にも余裕があり、ペーパーバックの中では読みやすい方といえます。
製本や印刷もしっかりしており、シックな装丁にも好感が持てます。
ただし、本文以外の解説や注釈などは一切ありません。
ホームズを読むのは、子供のころから数えると4度目くらい。
原書では初めて読みますが、文学作品ともいえそうな格調高い英語が使われています。
ホームズの個性や物語のおもしろさもさることながら、そういった文章の質の高さも、ホームズが長く読みつがれる理由のひとつとなっていそうです。
クセのない英語のため、学校英語をまじめにやってきた人には、けっこう読みやすい文章だろうと思います。
ところどころに古めかしい表現はありますが、すでにホームズファンとなっているような人たちであれば、なんとなく見当をつけながら読めてしまうのでは。
最初からジックリ読んでもよいし、また、好きな作品をひろい読みするもよし。
2〜3ページ毎に満載されている、シドニー・パジェット他のさし絵を眺めるだけでも楽しめる本です。
ミステリが好きな方には、おなじ出版社の 「The Selected Works of G.K. Chesterton」 もオススメ。
「ブラウン神父」 シリーズ全作品とともに、チェスタトンの代表作 (小説のみ) をほとんど読めてしまうという、こちらもお買い得の一冊です。