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ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)

価格: ¥567
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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新興国インドの経済発展とガンディー思想について ★★★★☆
インド独立の父マハトマ・ガンディー(1869−1948)の著書「獄中からの手紙」が、岩波文庫から発売された。これは以前同じ岩波文庫から「ガーンディ聖書」として1950年に発売された書の新訳である。旧漢字、旧仮名遣いが改められ、60年振りの新訳で随分読みやすくなった。

ガンディーの思想は、遙かインドを越えて、今や世界人類共通の希望となっている。そのことの最大の理由は、政治優先の社会に、人間はいかに生きるべきかという「哲学」を前提にしたことだ。しかも哲学と言っても、難しいことを言うのではない。

この獄中からの手紙も、そのやり方に洩れず、まず「真理」の探求から始まっている。厳しい道だが、真っ直ぐに歩いて行こうと、ガンディーは、シンプルに呼びかけている。インド独立の道は、ガンディーにおいて、イギリスという主権国に対して武器をもって立ち上がることではなかった。それは「真理と愛」の道をひたすら貫く道であった。

周知のように、ガンディーの政治行動は、「非暴力」と「不服従」である。当時世界一の債権国だった大英帝国に対し、その強大な武力と資本力に対して「非暴力」と「清貧」をもって立ち上がったのである。

もしも、イギリスに武力で抵抗運動を始めたり、独立の資金を他の強国に負担をしてもらっていたら、インドの独立は容易ではなかったはずだ。

ガンディ−は、言うならば、まったく別の価値観をもって最強の主権国と闘ったのである。しかもそれは、どこかからの借り物の哲学ではなく、古代から存在したインド固有の思想から採り入れた思考であった。

ガンディーは、イギリスとの独立運動において非暴力の闘いをしながら、一方ではインド国内における問題と真剣に向き合った。ひとつ目は、ヒンドゥー教とイスラム教の宗教対立。ふたつ目は、農業問題。三つ目は、「不可触民」と呼ばれる人々の差別をなくす行動だった。

三つ目の問題は、カースト制度というインド社会の根幹に関わる大問題であった。これらの問題の解決なくして、インドの近大化と独立はないとガンディーは考えた。例えば「不可触民」の問題に関しては、この仕組みをインド「社会の癌」であると明確に宣言した。

インドの独立後、ガンディーの古い風習にまで改革の矛先を向ける流れに、古い制度を維持したいと願う既得権を持つ人々は危機感を持った。そして、インド独立の父にして世界人類の希望の星となりえた不屈の人ガンディーは、1947年の独立の一年後、インドの若い暗殺者によって殺害されてしまったのである。

私は、2010年6月、デリーにある暗殺されたガンディーが荼毘に付された聖地「ラージ・ガート」の前に立った。そこでは多くの人々が尊敬をもった眼差しで祈りを捧げていた。またそこには、不可触民(ハリジャン)への募金箱が設置してあった。ふと、経済の躍進だけではなく、ガンディーの精神が原動力となって、インド社会が根本から変わるかもしれない、という思いが脳裏に浮かんだ・・・。
「マハートマ」偉大なる魂 ★★★☆☆
『ガーンディー聖書 (1950年) (岩波文庫)』(エルベール編、蒲穆訳)の新訳版。『ガーンディー聖書 (1950年) (岩波文庫)』には今回収録されている手紙とは関係のない、他の文書からの抜粋も収録されていたが、今回の新訳ではあくまで一連の手紙にのみ限定されている。
この本は、1930年、ヤラヴァーダー中央刑務所に収監されていたガンディーが、弟子たちに宛てて一週間(ほぼ火曜日の朝だったらしい)ごとに書き送った書簡15通と、出獄後新聞に発表した文章一篇が収録されている。
原題は「FROM YERAVDA MANDIR」。MANDIRとは寺院のことで、カンディーはヤラヴァーダー中央刑務所のことを"YERAVDA MANDIR"と読んでいたそうだ。

ガンディーといえば非暴力や不服従といったキレイな言葉で語られることが多いが、この本を読むと、それほどはっきりとではないが、そういったキレイな言葉で纏めることができない思想なのではないかという違和感を抱いてしまった。ラディカルに突き詰めた思想のもつ毒みたいなものだろうか。そういう違和感から出発したガンディーの評価は、旧来のイメージとは異なるガンディー像を導くのかもしれない。