アラスカの刑務所からマニー(ジョン・ヴォイト)とバック(エリック・ロバーツ)、ふたりの凶悪犯が脱獄し、貨物列車に乗り込んだ。しかし発車してまもなく、機関士が心臓発作で急死したために列車は暴走を始めていく。一方、ふたりを追う狂気の刑務所所長(ジョン・P・ライアン)はヘリで列車に乗り移ってきた……。
黒澤明監督がアメリカで映画化する予定で記した脚本を土台にしつつ、大幅にアレンジを施し、ロシアのアンドレイ・コンチャロフスキー監督がメガホンを握ったサスペンス・アクション超大作。脱獄ものの要素に列車暴走のアクションといった娯楽要素が、あたかもロシア映画のごとき硬質の映像でつづられているのが新味で、その意味ではロシアに愛着を持つ黒澤の意図とも呼応するものがあるかもしれない。余計な人間関係などに執着せず、危機また危機の状況に焦点を絞ったことも逆に潔いものがある。凶悪犯役のふたりの熱演も見どころのひとつ。(的田也寸志)
黒澤云々は無関係で傑作。
★★★★★
ジョン・ヴォイトの熱演に尽きる。
強がっているが、実は何も考えてない主人公。
若い相棒をこき使い、自分は何もしない。
相棒がそれを指弾すると、たちまちしょげる。
そんなダメ男が、怨み重なる刑務所長との戦いで一変。
連結器を切り離して若い二人を救い、所長を道連れに・・
ラスト、吹雪の中、機関車の上に立つ主人公。
真っ白な世界に消えていくその姿は美しい・・
彼は、彼岸の世界へと走っていったのだろう・・
黒澤原案なんですね!
★★★★☆
最近、あちこちの衛星放送やスカパーで組んでる黒澤明特集で
黒澤映画を見るようになった身としては、
彼が原案の映画と聞いて、かなり食指が動いてます。
未見なんですが、ジョン・ボイドは好きな役者だし、
エリック・ロバーツってジュリア・ロバーツの兄で、
悪人ヅラの役者ですよね。
ジョン・ボイドと彼がアカデミー賞にノミネートされたのって、
この映画だったんですか。それはかなり気になりますね。
期待大なんで、さっそく買うことにしました!
暴走する機関車と、それを止めようとする話に絞って描いた方がよかったのでは?
★★★★☆
黒澤明の脚本では前置きなしにいきなり列車が暴走するところから始まるというもので、暴走する機関車と、それを必死に止めようとする鉄道側の描写に絞り、最後は散々な目にあった乗務員が家にたどり着くと、帰りが遅いと女房に怒られるというユーモラスな終わり方だった。この幻の脚本は岩波書店から出版された「全集・黒澤明 第五巻」に収録されていて、脚本を読んでいるだけでハラハラ・ドキドキでとても面白い。
黒澤明の脚本を原案としたこの映画ではジョン・ヴォイトと刑務所長の対立関係を際立たせるためか、冒頭の刑務所の場面が長く、暴走した機関車を止めようとする話と、所長との対決を平行して描いていますが、無理矢理人間ドラマを詰め込んだように感じてしまいます。またラストも暗く、全体に重い感じの映画になってしまっているのが気になります。もし黒澤明が監督していたら「隠し砦の三悪人」のように次から次へとピンチに陥り、あの手この手で切り抜けていくような映画になったのではないでしょうか。当初の黒澤明の考えていたように暴走する機関車の描写に絞って展開した方が面白くなったような気がします。
俳優陣(ジョン・ボイト、エリック・ロバーツ、レベッカ・デモーニィ)はそれぞれ熱演ですが、力が入りすぎて、こちらも多少、空回りの感があります。黒澤明はキャストにヘンリー・フォンダとピーター・フォークの出演を希望していたようです。
力作ではあるけれど、黒沢脚本のいいところを削って、余計なエピソードを詰め込んだ感じがします。