短編小説を読んで中国語を学ぼう3
価格: ¥0
英語の教材は豊富ですが、中国語教材はまだまだ少ないと感じています。しかも市場にあるのは初級か中国語検定、HSK対策の参考書がほとんどです。「中上級」のための「面白い」教材は、皆無と言ってもいいでしょう。
中上級の方には細かい単語説明、文法説明は不要です。必要なのは、同一の意味の日本語と中国語の文章を大量に読むことだけです。そこで本書は、日本語の面白い短編小説に中国語訳を付けただけという至ってシンプルな構成を取っています。
収録した小説は私が2006年頃に書いたものです。当時、中国の出版社から日本語教材として出すつもりで、中国人の友人、学生が小説を翻訳してくれました。いくつかの事情で小説も訳文も世に出せないまま時間が過ぎましたが、2014年になってようやくamazon kindleから電子書籍という形で出版する運びとなりました。
本書は「短編小説を読んで中国語を学ぼう1」と「2」の続編です。本シリーズが皆様に楽しい中国語学習をお届けできることを祈っています。
平山崇
2015年9月20日
目 次
僕の仙人
我之神仙(中国語訳)
悲しき恋のバナナ
悲情的香蕉(中国語訳)
作者のキンドル本一覧
僕の仙人
―1―
修一は親戚に中国人のおじさんがいた。いつも優しくしてくれるので、大好きだった。
「中国には仙人がいるんだ」
あるとき、おじさんは誇るように言った。
「仙人はいろいろな技が使えるんだ。これを仙術という。それから不老不死だ。死なないんだよ。いつも高い山などに住んでいて、世の中を見ている」
「へえ、すごいすごい」
修一は興奮した。「仙人に会いたいな」
「そうだろう」
「僕も仙人みたいなすごい人間になりたい」
「よし。じゃおじさんが会わせてやる」
「本当? いつ」
「そうだな。次の夏休みはどうだ」
修一は当時小学生だった。クラスの友達は夏休みに東京ディズニーランドに行ったり、海水浴に行ったりといろいろな計画を立てていたが、「仙人に会いに行く」というのは自分一人だけだった。いやそんな小学生は日本のどこを探してもいないだろう。修一は得意になっていた。
我之神仙(中国語訳)
修一的亲戚中,有一个叔叔是中国人。对他总是和蔼可亲,修一也非常喜欢他。有时,叔叔夸耀似的说:“在中国是有神仙的”
神仙能使用各种技法。他们称之为仙术。他们是能长生不老的。不会死的哟! 总是住在高山上,时刻观注着世间。
“哇!厉害厉害!”
修一兴奋起来了。“我想见见神仙。”
“是吗?”
“我也想成为像神仙一样的厉害的人物”
“好!那么叔叔我带你去见他吧。”
“真的吗?什么时候?”
“当然啦!来年暑假时,怎样?”
修一当时是一个小学生。虽然,班上的小朋友们有计划暑假去东京迪斯尼,去海水浴等等诸多计划,可“去见神仙”仅自己一个。不容分说,这样的小学生在日本任何地方都是找不到的吧!修一想着不觉得意起来。