親鸞伝の非神話化
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本書は、親鸞の曾孫である本願寺第3代覚如が、親鸞没後33年目に完成させた『親鸞伝絵』を批判的に検討したものでです。
なお、副題の『御伝鈔』は、絵の部分を除いた詞書を集めたもののことで、『親鸞伝絵』の文字部分、つまりは内容を意味しています。
『親鸞伝絵』とは異なるところのある伝承されてきた逸話によって『御伝鈔』を再検討する「非神話化」には納得させられました。
最新の研究成果を踏まえたた上で、不明な点は不明とする冷静で客観的な叙述には信頼感が持てます。
引用文に丁寧な現代語訳がなされているのは親切だと思いました。
第8代の蓮如にとらわれていないところが、宗派的な自由を感じさせます。
親鸞伝記上の問題点の最新状況を知る好著です。