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Nineteen Seventy-Four: The Red Riding Quartet, Book One (Vintage Crime/Black Lizard)

価格: ¥1,245
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage
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   1974年、イギリスのヨークシャー地方。「ヨークシャー・リッパー」と呼ばれる殺人鬼がちまたを騒がせていた。「父が犯人では?」「母が次の犠牲者になるのでは?」と脅え、殺された女性の写真をスクラップブックに貼りつける少年がいた。彼は長じて作家を目指すようになり、東京は小岩の古アパートで少年時の強迫観念を反映させた小説を書きあげる。できすぎた話だが、その少年がこの小説の著者デイヴィッド・ピースだ。本書は発表されるや否や、ジェイムズ・エルロイあたりのアメリカのダークなクライム・ノベルに影響を受けた、イギリスミステリーのニューウェイブとして注目を集めた。

   背中に白鳥の羽が縫い付けられ、性器にバラが突き刺された少女の死体が発見された。ヨークシャーの新聞記者エディーは、この事件が数年前に端を発する連続殺人の一環ではと疑いはじめる。そして謎の男から被害者の写った写真を渡されたことから、とりつかれたように調査に没頭する…。暴力と陰謀、そして強迫観念で埋め尽くされたこの暗黒の物語は、テンポの良い文章でつづられていて、読者はエディの妄執に引きずられるように、ページを繰らずにはいられなくなる。

   本書は1974年から83年にかけての、北イングランドの犯罪と政治と性についての連作となる「ヨークシャー4部作」の第1作である。まさにヨークシャー地方で不幸な少年時代を過ごしたという著者は、心の傷を負わせた張本人(ヨークシャー・リッパーとサッチャー首相とのこと)とその存在を許した時代を暴くことで、時代への復讐を果たそうとしたのか。(工藤 渉)