ステレオタイプへの挑戦
★★★★☆
フランス人の作者によるフーリガニズム(フーリガン現象)研究。
ところどころにフーリガンへの興味深いインタビューがあるものの、きれいに体系だてて整理されているわけではないので、全体としてはまとまりが悪い。
ただし、作者は「フーリガンは低所得の労働者階級のアル中の若者で、彼らの鬱積した疎外感がサッカーの場で暴力となってあらわれるのだ」というステレオタイプを打ち破ろうとしていて、優れた視点や有用なデータを提示していく。
フーリガニズムを、単純に社会の特定の階級・集団と関連付けるのではなく、それらの現象を形作っているのは個人の行動の集合体であるという視点から解き明かそうというスタンスに共感した。