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特攻に殉ず―地方気象台の沖縄戦

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論新社
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:田村洋三/著 出版社名:中央公論新社 発行年月:2004年06月 関連キーワード:トツコウ ニ ジユンズ チホウ キシヨウダイ ノ オキナワセン とつこう に じゆんず ちほう きしようだい の おきなわせん、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622 米軍の「鉄の暴風」の中で特攻という「邪道の用兵」を的確な気象情報の提供という形で黙々とアシストし続けた男たち-。厳粛なる人間ドラマ。 戦雲漂う沖縄地方気象台南西諸島空・気象班蚊坂の10・10空襲逃げた台長、留まる技師来る人、往く人沖縄戦、火蓋を切る特攻機に的確な気象報を“邪道の用兵”を支えて最初の犠牲者梅雨戦線活かし切れなかった気象報多情多恨・南部落ち笠原貞芳技師の最期身
惜しい人たち ★★★★★
ある日、喜瀬さんが真栄平の北東のはずれまで来た時、赤ちゃんをおぶった20代後半くらいの婦人が泣きながら「兵隊さん助けて」(台員も軍服を支給されていた)と声を掛けて来た。案内で空き家の民家に駆けつけると迫撃砲弾の直撃を浴び、夫らしい男性が死亡、そばで片足を無くし腹から腸が飛び出した5歳くらいの男の子が苦しんでいた。すぐに応援を求め宮里さんがやってきた。宮里さんは、苦しんでいる男の子を見て「これ以上苦しませるより、早く水を飲ませて楽にしてやったほうが良いんじゃないかねえ」と言った。同意を得ると狼狽える母親の代わりに水を飲ませた。男の子は水を美味しそうに飲むと直ぐにこと切れた。
 庭の大きな芭蕉の木の下に大小二つの穴を掘った。埋葬を始めると婦人が「ちょっと待って」と民家の中へ取って返した。どうしたのかと訝る二人の前に母親が涙ながらに抱えて来たのは、男の子のちぎれた片足だった。最後に婦人に言った。「奥さん、しっかり覚えておきなさいよ。真栄平の北東の端の、屋敷の後ろ側のバナナ畑の角だからね。大きな石はご主人、小さな石は坊やのお墓の代わりだからね。あんたは何としても生き延びて、お骨を先祖伝来のお墓に入れて上げるんだよ」。
 そのことが気になっていた喜瀬さんは終戦翌年の1946年春、真栄平の現場を訪れた。「芭蕉の幹は焼けぼっくいになりながら残っていました。その下の大小二つの石は取り払われ、穴は掘り返されていました。あの仮埋葬は僕たち3人しか知りませんから、ああ、あの奥さんは戦争を生き抜き、遺骨を拾えたのだな、と嬉しかったですねえ」そう言って、喜瀬さんはハラハラと涙を流した。沖縄の「守礼の心」は戦火の中でも失われることはなかったのである。  以上 本文より。
軍人でも民間人でもない彼らは両方の気持で‘特攻に殉じた’。
開戦時38名の台員は5名のみ生還した。
必読の書です ★★★★★
純粋に気象業務に携わっていた沖縄地方気象台職員が、やがて沖縄戦に巻き込まれて行く様があまりにも悲しく書き上げられています。正確な気象情報を送ることが特攻の戦果に寄与すると信じながらも、目の前でアメリカ艦船に突入する特攻機を見たときの心の葛藤など、最後まで引きずり込まれる良書です。