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なにがケインズを復活させたのか?

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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行動マクロ経済学の先駆者としてのケインズ ★★★★★
一般に、ケインズの経済学は価格が硬直的であり、数量調整がなされる
短期の事象を説明する理論として理解されていることが多く、物価変動
を考慮しない消費関数や、それに基づく乗数効果などはしばしば批判の
対象になっています。本書では、それにリスクと不確実性の区別という
視点で考察を加えています。

また、ケインズは経済学を現実の事象に役立てようという姿勢をもって
いることが書かれ、人間や市場を実際に観察した上で理論を構築しよう
としていることが理解できます。
このような帰納的あるいは経験的なアプローチは、現在の行動経済学な
どに通底しており、行動マクロ経済学の先駆者として、ケインズを読み
解くことができるのではないかと感じました。

何度も読み返すことで、マクロ経済や、経済学そのものの位置づけへの
理解を深めることができると思います。
蘇るケインズ!―その多面性を鮮やかに描き出した力作! ★★★★★
  今次の世界経済危機でマルクス同様に大きな復活の兆しをみせているケインズ。1970年代まで先進資本主義諸国において支配的教義とされたケインズ主義はフリードマンらのマネタリズム・新自由主義に置換され、すでに「過去の遺物」という評価が強かった。が、偉大な思想は簡単には死滅しない。ケインズの経済学の根本的な革新性はどこにあり、これからの経済学の再構築に向けてそれはいかなる含意をもつのか。こうした課題にケインズ研究の第一人者が挑んだ。一読して直ちに分かるように、著者の筆力・構成力には感嘆せざるを得ない。まさに力作中の力作だ。

  第2章「経済学の現状」における「危機を説明できない経済理論」の箇所など、新古典派マクロ経済学(合理的予想仮説、実物的景気循環理論、効率的金融市場理論という3つの相関連する前提からなる)の明快な省察は実に興味深く、スティグリッツら新ケインズ派による金融危機の説明に対する、「非対称情報による危機ではなく、対称的な無知による危機だった」(83頁)という評価は、確率計算可能なリスクと不確実性を峻別したケインズ自身の洞察を(新ケインズ派が)看過していることへの鋭い批判的認識を示している。マクロ経済学を「ミクロ経済学の応用部門」とみなす主流派は、数学的な洗練化を増しつつも、総需要不足の源泉を将来の不確実性に結びつけるケインズのコア部分をむしろ排除するバイアスを有している。

  とすれば、そもそもマクロ経済学とは何か。著者によれば、それは「慣行にもとづく予想がなぜ、どのようにあらわれ、どのようなものであり、どうすれば改善できるかの研究」であり、ゆえにマクロ経済政策とは「経済システム全体で不確実性の量を減らすこと」(279頁)に他ならない。ケインズ研究の蓄積は膨大だが、まだその実像は描き切れていないのか、本書からそんな感慨をもつ読者も多かろう。何度も精読すべき最良のケインズ現代論だ。
ケインズの経済学のポイントは不確実性の概念にある。 ★★★★★
著者は第1級のケインズ研究者であり、新古典派、1960年代に全盛期を迎えたアメリカ・ケインジアン、マネタリストによる「反ケインズ革命」、そして1990年代に「復活」したニューケインズに対するラディカルな批判を展開し、ケインズの経済学の今日的価値の復興を唱える。

私自身、大学ではケインズ経済学の主要ポイントのひとつは労賃の下方硬直性だと習った。更に広げて、価格の硬直性があるから、需要減少などのショックが起こると相対価格の調整に時間がかかり、生産、所得、消費などの実体経済の縮小が起こるのであり、それがケインズ経済学のポイントだと習った。著者によると、それはケインズの体系の一部ではあるが、副次的なポイントに過ぎない。
ケインズの提起したポイントは「不確実性」の概念にあるという。それは確率計算によるリスク計測のできない不確実性であり、ナイトの不確実性と本質的に同じものだ。

ところが、新古典派も、新古典派総合も合理的期待仮説によってケインズの提起した不確実性の問題を体系から排除してしまった。ニューケインジアンも価格の硬直性をベースに体系を再構築したものの、合理的期待仮説の点では迎合し、ケインズの本質を継承できていない。
その結果、現代の主流の経済学の体系は、バブルとその崩壊、金融危機に対して無防備で、理論的に破綻していると批判する。
勉強になりました。