多くの仏教哲学書のようにオウムも術語と隠語の草叢であり、そこに埋没していったのだ。
ある朝、テレビをつけたら地下鉄がとんでもないことになっていた。私の親父も使っている地下鉄だけに、気が気でなかった。幸い親父はもうちょい前の時間に乗っていたから、被害にあわなかった。
私は、「とんでもないことが起こるぞ」と、「サリン気分」でいた。
あの時、その場にいたものなら、誰しも思ったことだろう。
‥この本は、そんな「彼ら」を、冷静に、客観的に説明してくれる。
「ダーキーニ」とか、知らないことを知らせてくれる。少なくとも、オウムの精神分析などをするよりも、この本を読んだほうが、あの時の、「サリン気分」が、なんとなく理解できるような気がします。
「ここまで行ったら、そりゃ暴走するよなあ」と、しみじみと思った本です。
オウムを冷静に見つめると、彼らがどれだけ醜悪な「教祖」に、信仰を抱いていたかが、良く分かる本です。
これの監修をしている方々は、オウムについて、かなり造詣が深いです。「こんな考え方していたら、そりゃ暴走するよな」と、実感させると共に、それでもなお、これを信じきっている人々がいる悲喜劇を感じさせます。
「あんな狂った教団があったな」と思う方に、ぜひ!!一読の価値ありだと思います。