ただ肝心の島田氏の主張となると、予断や推測があまりに多く、首をかしげたくなるような断定もあちこちに見られます。麻原彰晃の人物像も全く一貫していません。文章も極めて粗雑かつ冗長で、読み通すのも困難です。結論は陳腐でお粗末な一般論。高いお金を出して買うほどの本とは思えないので、図書館で借りて斜め読みすることをおすすめします。
それを分析しようとしていることには頭が下がります。20世紀の終わり、日本社会は「オウム真理教」という、自我だけが発達した宗教を出してしまいました。単なる「頭のおかしい連中」と、捕らえずに、麻原を、分析し、教団の暴走に至るまでを克明に、宗教学者として捉えている本です