見るだけでも楽しめる本、作るならかなり本格派
★★★★★
むきものとは、野菜の飾り切り。
皮を剥く、の「剥く」という表現から転じて、「むきもの」と呼ぶのでしょうか。
色鮮やかで格調高い構図の写真がふんだんに使われていて、眺めるだけでも楽しい本。
月ごとに、お造り(お刺身)、碗種、煮物との合わせ方が具体的に提案されていて、
季節感ある華やかなお料理を目指せます。
冒頭には、巻物を裏から広げるように筒状の大根を切り進める「桂むき」や、その応用
といった、基本的な技術の紹介もあります。
が、大部分は、のみ、筒抜き、切り出し、といった本格的な器具を用いた、野菜の彫刻。
書いてある通りに丁寧に作れば初心者でも完成できますが、主眼としてはプロ向け。
むきもの各々に難易度の目安があり、初級は1分以内、中級が3分程度、上級は5分程度が
「熟練者の」目標時間として示されています。
気をつける必要があるのは、料理の基本がある程度できている読者を想定しているようで、
加熱や調味が必要なものについて、下茹で等が必要な点を明示していない部分もあること。
初心者がチャレンジする際は、むき始める前に、全体の流れをよく読んだ方が良さそうです。