本書の読者は、ひとつひとつ順を追って修練を積んでいくことで、誤った思い込みや概念を打ち砕き、世界をありのままに見ることができるようになる。ダライ・ラマ法王は、感覚や思考を惑わす偽りの外観に読者の目を向けることで、うわべの向こうにある真の姿を発見するお膳立てをしている。だが、誤った認識の克服は、正しい行動にたどりつくための前奏曲にすぎない。本書の最終セクションでは、瞑想による集中力を愛のために役立て、また逆に愛を集中力のために役立てることで、利他的な悟りを開く方法が説かれている。
個人的な逸話やダライ・ラマ自身の奥深い人生経験に彩られた『How to See Yourself As You Really Are』は、自分を正しく見つめるための霊感に満ちた啓蒙書。精神性を探求する者なら、宗教の違いを越えて読み、楽しむことのできる1冊だ。