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太平天国にみる異文化受容 (世界史リブレット)

価格: ¥765
カテゴリ: 単行本
ブランド: 山川出版社
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他者を理解する「方法」 ★★★★☆
圧倒的な軍事力を持つに至った西洋文明を中華文明が如何に受け入れ
たのか、太平天国の乱を軸にその過程を追う。

太平天国の乱が単なる新興宗教団体の蜂起というだけではなく、その
裏に貧窮した原住民層と漢族貧困層との混合という社会的条件が
あったこと、また客家と呼ばれた集団が深く関与していたことにかなり
紙幅を裂いている。

客家もまた、文化的(あるいは言語的)に一般の漢族とは異質な集団
であり、この大反乱の背景には、教科書通りの説明からは図れない
深みが控えていることをうかがい知ることができる。

もっとも本書の主題は異文化受容であり、乱の中心人物であった
洪秀全(彼も客家だった)が「読書人」としての儒教知識で西洋や
キリスト教を捉えようとしていたことについて、より詳述されている。

中華帝国の勢力圏には多種多様な人種が住んでおり、漢族集団の
中でも原住民との混淆があったこと、そして文化的マイノリティに
属する層にも読書人が存在していたことなど、日本では殆ど知られて
いないのではないか。


中国という国家・地域を理解しようとするとき、このような重層性
にはかなりの注意を払わなければならない。それは春秋戦国から現代に
至るまでのテーマであり、太平天国の乱もまた、その例に漏れない
ということなのだろう。

体系的な記述はなく、入門書としてもある程度の知識が必要な
内容だが、中国史に興味がある人にはお勧めできる。