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Exercices De Style

価格: ¥879
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Gallimard
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前衛的かつ思想的な「現代の古典」ですが、非常に簡単に読めます ★★★★★
 この本は、同じ内容の極めて短い文章が、99の別々の文体によって書かれているだけでなのです。
 しかしながら、退屈するには及びません!何故ならどの文章も、別々のお話しの様に読めるからです。それどころかむしろ、読んでいて感じることと言えば、「よくもまぁここまで、それぞれがまるで違う感じを与える様に書けたものだ・・・」と関心するばかりでして、何故だか途中から面白くて笑えてすらきます。

 レイモン・クノーは、後のフランス現代思想で言うところのエクリチュール(書き言葉)とパロール(話し言葉)との差異にこだわり、「書き言葉とは何か?」「話し言葉とは何か?」について考え抜いた人である。
 実際にクノーの影響を受けた流れとして、ロラン・バルト→ジャック・デリダ・・・と、フランス現代思想のその後を考えれば、彼のスゴさが非常によく分かると思います。

 つまるところこの本は、別々に感じる同じお話しを、ひたすら99通りも違った文体で書くことによって、その様なクノーの「エクリチュール(書かれた物)とは何か?」へのこだわりが積もった代表作の一つと言えると思います。

 これは日本語訳も出ている様ですが、訳を読んでもあまり意味が無い様な気がするのですが(もちろん、クノーの代表作の一つ『地下鉄のザジ』の様に、訳すること自体が全く意味をなさないと言えそうなものとは違うのでしょうが・・・)、一通りフランス語が読める方なら簡単に読めてしまうと思いますので、是非、この本はフランス語の勉強も兼ねて御一読頂くと良いでしょう。
 クノーに関心があり、原書で読まれたい方は、この作品から読まれることをオススメ致します!

 またクノーの作品は、どれも前衛的なものばかりですし、その様なわけで、前衛的な文芸愛好家の方、哲学愛好家の方、フランス語を学習中の方に、幅広くオススメできるかなと思います。

 それにしましても、クノーはその偉大な功績に比べ、映画化もされた前述の『地下鉄のザジ』位でしか日本ではあまり知られておらず、もっと日本のフランス文芸愛好家の中でも人気が出てイイ作家だと思えてなりません・・・。
 これは彼の作品のブームが去ったと言うよりも、そもそもクノーの人気があまり日本では来なかったらしいですし・・・。