“朝酒、昼酒”、この切り口を求めていた!
★★★★☆
いやぁ、求めてた本だよ、これ!「朝から飲める店 昼から飲める店」っていう、工夫はないけどストレートなタイトルもわかりやすくっていい!なんか、装丁が「かしこい保険の選び方」とか「確定申告Q&A」みたいな実用書っぽいとこもご愛嬌だ。前書きに、「仕事のちょっとした空き時間や夜勤明け、あるいは、たまたまとれた平日の休みや休日の午前・午後。そんなとき、まさに“事情が許せば”ノドのうずきをいやしたくなる人は、数知れない」ってあるけど、まさにその通り。酒は日が暮れてからってのが道理だろうけど、たまには不埒な朝酒、昼酒を呑りたくなるシチュエーションってのが人生には幾度となくあるわけでさ。「自分を褒めてやりたい」ってのはこそばゆい、人様に聞かせるようなワードじゃないけど、こっそり自分に褒美をやるのはいいんじゃないですかね、「ひとり打ち上げ」って感じで。徹夜明けとか、一大プレゼンが終わった後とか。まぁ、それは正当化であって、何の理由もなしに会社サボって、あるいは家族騙して呑む朝酒、昼酒も、怠惰でせこくていじましくて、それでいて束の間の開放感があって、生きてる感じがして良いもんですが。
この本、すごく外連味がなくて、レポーターもディープな人ってよりはフツーな人で、そこがイイトコでもあるんだけど、まだまだお店にヌケがあるんで、ぜひぜひ第二弾を期待である。それにしても何人のライターさんが分担してるのかわからないけど、皆さん、分をわきまえているっていうか、初めてのお店で呑むスタンスが読んでて好ましいよね。いい酒呑みの方ばっかな気がする。お店の雰囲気も伝わるし、そこら辺のライターとしてのプロフェッショナルぶりも評価できる。切り口がいいんだから、もうちょっと体裁がなぁ...この奥ゆかしさ、俺的には二重丸だけどさ。第二弾作るんなら、あの店この店お教えしちゃいたいって気にさせる好著。