ペダル・スティール、ルーツ・ミュージック、そしてカヴァー
★★★★★
T.ボーン・バーネットによるプロデュース。
まず、彼の前提として、ペダル・スティールの演奏がすばらしく、次に、今回はT.ボーン・バーネットの力を借りて、ルーツ・ミュージックを指向し、最後に、アメリカのポップ・ミュージックの100年の歴史を考え、表現するに当たって、音飛びのする古いレコードの音を挟みながら、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、プリンスの曲をカヴァーしています。
ひとつのコンセプト・アルバムとしてよくできていると思います。
日本盤には、曲のあいだに挟まれる古いレコードの音以外の歌詞・対訳がついています。
もっとはじけて欲しい
★★★★☆
新譜すごく楽しみにしてました。しかもアメリカンルーツミュージックの重鎮T BONE BURNETTのプロデュースと聞いてわくわくしました。聴いてみてやっぱりそれっぽいです。というかそれっぽすぎて大人しすぎる印象です。ベンハーパーやエリッククラプトン系統のファン獲得するためには良い作品なのかもしれませんが、UNCLASSIFIEDやLIVE AT THE WETLANDSのハジケ感、ジャムっぽさを期待した人は少しがっかりするかもしれません。これからもこういう路線でいっちゃうのかなー。
ペダル・スティールギターの概念が変わる!!
★★★★★
Robert Randolph & Family Bandの「We Walk This Road 」は、ペダル・スティールギターの魅力を存分に楽しめる。ペダル・スティールというと、ついついハワイアン・ミュージックなどが頭に浮んでしまう、自らの想像力の無さに閉口してしまうが…。前作「Colorblind」でもRobert Randolph の超絶テクには唖然とさせられたが、新作ではさらに音楽も洗練され完成度の高いサウンドになっている。
何が洗練されているかというと、前作はかなりファンク色が強く、かなりアクの強さを感じた。「We Walk This Road 」では、ペダル・スティールは健在ではあるが、半歩も下がった控えめな印象を受けた。その分、メロディーであったり、女性コーラスが前面に押し出され一層聴きやすい音楽になっているようだ。
さらには前作同様に、豪華ゲストが多数参加している。ベン・ハーパー、レオン・ラッセル、ジム・ケルトナーなどが色を添えている。
ボブ・ディラン「Shot Of Love」、ジョン・レノン「I Don't Wanna Be A Solidier Mama」、プリンス「Walk Don't Walk」のカヴァーも秀逸であり、バンドとしての成熟さも窺わせている。この夏お奨めな一枚ではないでしょうか。
いやぁ、凄い深化だわ・・・。
★★★★★
彼らのような音楽って、CDショップに行ったらどの棚に並んでいるんだろう。出自である教会で奏でていたというペダル・スティールを縦横無尽に駆使しつつ、ゴスペル、ブルースからジャズ、ソウル、ファンクにヒップホップの香り漂う、黒人も白人もない、まさに「アンクラシファイド」で「カラーブラインド」な音楽。ライブアルバムでデビューした時から衝撃だったなぁ。とはいえ、これまでの彼らは素晴らしい音楽性と比べて、まだまだ精神的に深みが足りないというか、歌っている内容も含めて“浅い”感じもあったんだよね。大好きな音楽なんだけど、ちょっとのめりこめないみたいな…。
恐らくは彼ら自身も自覚していたのかもしれない。そこで今作はというと、ルーツミュージックにも造詣の深い、T-Bone Burnettをプロデューサーに迎え、自身の出自と、一世紀の長きにわたり脈々と受け継がれてきた「アフロ・アメリカンミュージック」の伝統をしっかりと踏襲した、深みのある楽曲を(オリジナルに拘らずに)ずらりと揃えてきたね。ある意味、前作までの派手さはやや影を潜めているので、これまでのノリが好きな方にはやや地味な印象のアルバムかもしれないが、深い味わいのある作品に仕上がったね。そうそう、トラディショナルなナンバーをインタールード的に配するアルバム構成も、統一感を高めるのに一役かっているね。
実は結構豪華なゲストが参加しているんです。B・ハーバー(8)、D・ブラムホール(11)(17)、L・ラッセル(17)にJ・ケルトナーだし、カバー曲もゴスペル3部作時代のディラン(5)、J・レノン(11)にプリンス(12)と。こう書くと脈絡がなくバラバラな感じですが、これが意外や意外、完全に統一感の取れたバンドサウンドの一要素としてハマっているんだよね。もちろん、ギターは相変わらずの鋭さで奏でられているのは言うまでもないし、曲によってボーカルを、バンドメンバーのD・モーガンやファミリー(姉?)のレンシャ・ランドルフ、前述のゲスト、D・ブラムホールやB・ハーパー達と分け合いながら、唯一無二のファミリースタイルを貫いています。なんか、彼らにとってもターニング・ポイントになりそうな予感がします。いやぁ、しかしこれは深いわ!