磁器上絵付け、王立ベルリン製陶所の花のモチーフ
★★★☆☆
日本ではマイセンほどの知名度はないがKPM ベルリンはマイセンと並ぶドイツの名窯であり、その陶板画に代表されるように絵付け技術においてはマイセンを凌ぐほどのものがある。
著者 Birgit Porter は元KPM ベルリンの絵付け師であるが渡米後独自のスタイルを確立したようで、その画風は実際のKPM ベルリンのものとはかなり異なる。KPM ベルリンの花々は典雅でロマンチックなものが多いが、彼女の描く花々は厚化粧の妖艶な女性の様である。好みの別れるところではないか。
技法書としては大変良く出来ており、一般には知られていないKPM ベルリン独特の描き方を垣間みることが出来る。
KPM ベルリンの絵付け師達は筆の刷毛目を生かしつつ陰影のみならず葉脈などまで一気に描きあげる。これが写実的で透明感のある絵付けを可能にする。著者はこの熟練を要する難しい技法を実際の絵付けプロセスを示しながら懇切丁寧に説明している。手探りでKPM ベルリンの名品の模写をしているペインターには特にお薦めしたい。