じわじわ感動します
★★★★★
読み終わってからじわじわ感動する、あとから来る系の1冊。聖子さん齢50歳。自身では変化のない人生だと思っているけれど、どっこい色々な事がこれでもかとやってくる。本当に人生って分からない。それが聖子さんの言葉を借りて淡々と書かれ穏やかで優しくて好感が持てる。中原中也の『頑是ない歌』の引用が的確。上手に溶け込んでいる。「私にとって最も美しい滅亡の物語は、淡くて遠くにある時間なの。それはたとえば、十二の冬の夕べの、港の空の汽笛の湯気みたいな細やかな揺らぎなんだわね」聖子さん、読者とシンクロし物語は美しく終る。