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NHK 大河ドラマ 「新選組!」 オリジナル・サウンドトラック

価格: ¥2,800
カテゴリ: CD
ブランド: ユニバーサルミュージック
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   2004年1月11日スタートのNHK大河ドラマ『新選組!』のオリジナル・サウンドトラック。音楽は服部隆之が担当し、メインテーマ曲のヴォーカルをとるのはテノール歌手のジョン・健・ヌッツォだ。ドラマ前半では楽しいことばかりが起こる。近藤勇(香取慎吾)の周りに仲間が集まり、どんどん盛り上がる。しかし、後半には歴史が示すとおり、彼らには試練と破滅が待ち受けている。そのとき、楽しかったときの音楽がどうオーヴァーラップしてくるか。そこに服部隆之の今回の劇伴音楽の真価がある。

   服部隆之は今回、作曲にあたってひとつの宣言を行ったという――「ピアノは使わない!」。哀しげなトーンが醸し出す雰囲気で視聴者の涙腺をゆるませようという方法を服部は拒絶する。それは実は三谷幸喜のドラマの手法とも深く関係している。人を思わず惹きつける楽しく明るいエピソードをテンポよく繰り出し、軽さと親しみやすさで、笑いに巻き込み、なるほどと思わせる。そして、いつのまにか観る者はペースにすっかりはめられ、登場人物の生き様にすっかり共感し、ドラマの起伏へとのめりこんでいく。

   服部によれば、『新選組!』の音楽には、五度(ドとソ)の音が多用されている。この音の組み合わせには一種の無国籍感があり、あるときはローマ帝国風にすら響くという。また、ドミソのミの音を抜くことによって、短調とも長調ともつかない響きが得られる。気分によって、どちらともとれるような響きなのだ。ブズーキ、ケーナ、尺八といった様々な国の民族楽器、あるいはピアノ線をバチで叩く特殊奏法も使われているが、それらがこの幕末青春ドラマに見事なまでにフィットしているのは、驚くべきことである。

   広上淳一指揮NHK交響楽団によるテーマ音楽は、歴史ある大河ドラマの伝統の王道を行く、テンション高い屈指の名曲と言える。熱い高揚感に満ちたこの演奏をCDで聴くと、また格別の満足がある。また、このディスクのちょうど真ん中には、本編ドラマでは決して使われない、テーマ音楽のピアノ・ヴァージョンが入っている。これは本CDのためのサービス・テイクで、勢いばかりではなく、音楽的にも深い曲であるのが、非常に美しいピアノ演奏によって一層感じられるに違いない。(林田直樹)