大江戸犯罪心理学入門
★★★☆☆
江戸の人々が残した、世にも奇妙な物語の数々。
それらによれば、江戸の町には魑魅魍魎、狐狸妖怪が跋扈していたようだ。
そう、「人間」という名の・・・・・・
本書は、多種多様な江戸の怪談、奇譚を紹介している。
それだけでも十分に面白いが、本書の真骨頂は、
「怪奇」の裏側にひそむ江戸社会のなまなましい現実に迫ったところにある。
妖怪変化怨霊などの怪異を真に受けてオカルトに走るでもなく、
迷信に惑わされる江戸庶民の迷妄を笑うでもない。
摩訶不思議な怪奇譚という「虚構」を手掛かりに、
そうした物語を生み出した人々の怨み・憎しみ・妬みという「現実」を炙り出しているのである。
天狗の神隠しから性犯罪の、河童から浮浪児の、全身から針を出す少女から児童虐待の、老婆のところに現れる狸の話から老人介護の実態を、
浮かび上がらせる手腕は見事。
筆者が明らかにする江戸の暗部は、人情あふれる江戸の長屋、という時代劇的イメージを一掃する。
現代の凶悪犯罪や精神分析に関する知識を参照する視野の広さにも好感が持てる。
今も昔も本当に怖いのは、お化けでも幽霊でもない。人の心の闇なのである・・・・・・
ただ、ちょっと高い。装丁が立派なのは評価できるが、内容を絞り込んで分量を減らせば、新書にもできたんじゃなかろうか? やや水増し感がある。
専門書ならそれらしく
★☆☆☆☆
庶民の好奇心をかき立てるようなテーマを好んで扱う氏家氏のいつものヤツです。
膨大な資料の中から庶民が喜びそうなネタを拾ってくるのが、この人は本当にうまい。
内容のほうは、ありていに言うなら各資料からの孫引きと、それについての著者の
感想文が添えられたものになっています。
資料から絵の他は挿絵もなく、孫引きと感想以外は著者独自の調査がなされたわけでも
なく、資料と感想文が入り交じって書き綴られているので知的好奇心を満たすのには
イマイチな出来。したがって200数十頁でこの値段は高いという結論に。
半額でいいような気もしますw
タイトルは少々えぐいですが。
★★★★☆
タイトルに惹かれて買ってガッカリした人もあるようですが、タイトルは確かに
一寸「えぐい」かも。
著者が、衝撃的な内容を、冷静な筆致で書くことで知られた日本近世史の専門家
であることを知っていれば、そうした誤解はないと思うのですが、タイトルと表
紙で「マニア向けの本」を期待する向きには、期待はずれなのかも知れません。
買われる際は、どうか誤解無きよう。
近接する分野を研究している当方としては示唆に富んだ実に面白い本だけに、そ
の点だけは一寸残念。
怪奇譚から歴史を見る
★★★★☆
同氏の本は出る度ごとにほとんど読んでいて、
今回も「またヘンな本出してるよ〜」と思いつつ購入しました。
最近は本の数が増えてネタの重複も目立つようになり
少々食傷気味でしたが、今回のは目先が変わって面白かったです。
歴史学の隙間からこぼれ落ちる、言ってみれば真面目な研究者が
真面目に研究しないようなネタをコツコツと拾い集めて
本にしている、そういう著者はある種尊敬に値します。
政治や経済など、歴史学の王道からアプローチしても決して
見えてこない何かが、こういうところから見えてきますよ☆
お値段以上の内容…ではありません。残念ながら。
★★☆☆☆
・「耳嚢(みみぶくろ)」ダイジェスト版のようなものです
・挿絵はほとんどありません
・思っていたほど残酷ではありません
・著者はあとがきで「これは学術書だからそのつもりで読め」と言っています
・その上から目線の割に著者の感想文で文字数埋めてるのがどうもw
・今はネットでこの手の話はあちこち落ちてますしね〜