キーボード奏者のロブ・マウンジーがプロデュース、アレンジを担当した本作は、さまざまなポップやジャズのスタンダードから構成されている。ベーシストのロン・カーター、ドラマーのグラディ・テイトの顔合わせによるリズム・セクション、ギタリストのアンソニー・ウィルソンと共に、アーロンはクレセント・シティの魔法を昔懐かしい人気曲に吹きこんだ。「Danny Boy」にはギタリストのライ・クーダー、「Since I Fell For You」にはアーロンの兄であるサキソフォーン奏者のチャールズ・ネヴィル、上品に演奏される「Cry Me a River」にはテナー・サックスの巨人マイケル・ブレッカーが参加。「Blame It on My Youth」ではロンシュタットがゲスト・スターとして歌うほか、ロイ・ハーグローヴがクリフォード・ブラウンを思わせるクリーミーなトランペット・サウンドを披露。ガーシュウィンの「Summertime」をレゲエ・ナンバーのように歌うときでさえ、アーロン・ネヴィルのヴィヴィッドな歌声にはベニー・カーターのヴィブラートを思い切りかけたアルト・サックスの響きがある。疑問点がひとつ――どうしてもっと早く本作をつくらなかったのだ?(Eugene Holley, Jr., Amazon.com)