自動制御の副読書としてぜひとも!
★★★★★
制御と一言で言っても、その対象は幅広いため、制御理論の創生期には様々な分野の人々による検討が進められてきた。
蒸気機関とともに制御を考えていたファーレイ。
制御の安定性を理論的に追求したものの学問の世界から出なかったため安定性を判断するだけで終わってしまったマクスウェルとラウス。マクスウェルとラウスがともにライバルで「動的安定性の条件」の懸賞ではラウスが勝った。
ロシアのヴィシェネグラードゥスキーは、安定性の判断に加えて制御システムの設計論を築き上げようとしていた。
ストラドとフルヴィッツは、技術者と数学者の連携によりフィードバック制御の安定性の一般論が示された。
これらの議論が10年程度の間に繰り広げられていたが、今ほど情報化が進んでいなかったためか互いの成果について知らずにいた。
制御理論が生まれた時代と学者たちのかかわりがエピソードを交えて書かれており、この本に学生のときに出会っていればもっと理解が進んだのにと思ったほど、読んでいてワクワクする本です。
制御理論の勉強をしてきている人でも、ぜひともこの本を手にとって読んで欲しい本です。
自動制御の意義と歴史的背景
★★★★☆
複雑な機械や生物や社会を理解したり操ったりする際のコアとなる概念の一つに「フィードバック」というものがある。自動制御とは、この概念をコアにした数学理論や工学の手法のこと。本書は自動制御の歴史をさらっとコンパクトにまとめ、その意義やインパクトもからめて説明した教養書である。読むにあたって予備知識は必要ない。
本来は数学と現場の技術の話なんだろうけど、本書には数学らしい数学や生々しい技術の話は出てこない。せいぜい変数の時間変化を表すグラフや物理的接続関係を表す図が出てくる程度。完全に意義や歴史的背景を説明する読み物として割り切って書かれている。そのため、一般の教養本としては非常によいと思うし、その半面で学生やエンジニアにとっては肩透かしを食らう内容だと思う。
評者の場合、歴史的背景は本書で初めて知ったことが多かった。リヤプノフやウィーナーやカルマンは知っていたけど、初期の頃にはマックスウェル(電磁気学の人)までからんでいたなんて本書を読んで初めて知った。意外だった。技術的意義に関しては工学部や理学部を出た人やエンジニアなら大雑把には知っている話だろう。
制御技術の歴史が
★★★★★
少し前の本ですが、制御工学を学び始める前に一読しておけば、あの制御理論の数式が生まれる背景がよくわかっていいと思います。
制御工学の入門書としてすばらしい
★★★★★
制御工学を学び始めた人にぜひ薦めたい。
数式計算で頭が痛くなる前にこの本を手に取り、「人はなぜ制御したいのか?」
「制御はどのように進化してきたのか」を学ぶことができる。