おいしい牛乳とは何か?
★★★★★
この本は、著者のこの問題提起によって始まる。
岩手県岩泉町、北上山系開拓事業によって入植し、
幾多の困難を乗り越えながら山地酪農の牧場を造り上げた著者、
中洞(なかほら)正(ただし)氏。
中洞氏が、一山地酪農家の立場から、我が国の現状の酪農の
歪んだ姿と、乳業メーカーの利権主義体質の悪を指摘する。
自らが山地酪農の牧場を築きあげるまでの軌跡と、販売ルートを
開拓して自立した山地酪農家の経営モデルを確立するに至った
その経緯を非常に詳細に述べており、
今後の酪農のあるべき姿、時代の求めるものとして、
様々な角度から山地酪農の優位性、その秘められた可能性について
白熱した持論を展開し、消費者に熱く訴えかける。
畜産業ルポルタージュとしても、食の安全を考えるうえでも、
山地酪農の初歩的指導書としても読める。