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牛が拓く牧場―自然と人の共存・斎藤式蹄耕法

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 地湧社
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判断の基準 ★★★★☆
 本書は、戦後の北海道で開拓移民として旭川に入植し、農業には最も適さないといわれた環境を逆手にとって牧場にした斉藤牧場の牧場主自身による著作である。
 
 人はよく、判断の分かれ目に来ると「時代が・・・」「みんなが・・・」という理由で、自らの判断に後ろ盾を求め、多勢に順応してゆくことがある。開拓も、農業も、牧場もことほど左様に、「時代の趨勢」という後ろ盾や、「みんながやっている」という固定観念から、自らの判断を脇にどけ、逆に肉体的に疲労し、機械化で借金に追われ、病気に弱い牛を購入し、悪循環に陥ってゆく。

 本書の著者の素晴らしいのは、こうした判断の境目に来たときに、自らの自然(山)観察を頼りにして、多少は貧しい、もしくは、見栄えは悪いかもしれないが、これなら暮らしてゆける、もしくは他に頼らずに生きていける、という選択肢をとって、数年の試行錯誤をし続けた結果、結果的に持続可能な発展のモデルになってしまった、というところにある。

 こうした成功話は、経営者の書籍にもよく見られるが、本書の特徴はなにせ自然が相手なので、著者の筆致にもある種の「ゆとり」が感じられるところである。但し、成功話によくあるように、あくまでこうした本人による著作は、本人が当たり前と思って書いてないことや、本人が意識しなかったところで支えられていた、という側面もあるので、こうした部分は、他の著作で補う方がいいかもしれない。

 しかし、そうであるにせよ、軽はずみに「時代」や「みんな」を語って、自らの観察眼と判断と勇気を譲るなかれ、ということを確認するだけであっても、本書は読者に推薦するに値するだろうと思われた。