かつてのpopeye愛読者向けの一冊。特に70年代に愛読者だった人は楽しめるはず
★★★★☆
平成20年に単行本として刊行された作品の文庫化。編集者として創刊にかかわった著者が、76年のpopeye創刊から81年までの熱気を内側から描いた一冊。
筆者がpopeyeを愛読していたのは80年代中盤、高校生の頃だったが、230pに書かれていた次の文章を読むまで、popeyeってこんな雑誌だったかなぁという疑問を持ちながら読んでいた。
「独自の哲学を持っていた世代がポパイを離れ、目の前のことだけを考える無思想世代が編集部の主導権のようなものを握った」。
また、解説でも誌面の変化を「モノを通してアメリカの「ライフ」を伝える雑誌からガールフレンドとのコミュニケーションを伝授する実用的な雑誌へと変化した」と説明している。
70年代のpopeyeを知らない筆者にとって、80年の誌面との違いを具体的に感じることができなかったもどかしさはあるが、楽しむことができた一冊だった。ただ、popeyeが好きでなかった人でもそれなりに楽しむことができると思うが、読んだこともない人はつまらないかもしれない。
余談になるが、この作品を読んで一番驚いたのが、創刊当初、新人ライターに文章を教える手本が「東海林さだお」のエッセイだったという事実だ。