ファシリテーターの素晴らしい教科書
★★★★★
ファシリテーターの役割は「議論がまとまるようにする」こと。「議論をまとめる」ことではない。ロジックを使って会議・議論を活性化し、交通整理し、全員が腑に落ちる結論まで導くこと、だそうだ。
プロジェクトごとのチームで働くことが多くなってきた昨今、ファシリテーターのスキルは欠かせない。この本は、ファシリテーターの役割を明確にし、さらにその役割ごとにポイントを挙げて非常に具体的に説明している。
また、その役割ごとに例題があり、読み手のスキルを高めるための課題が付いている。ファシリテーション技術を身につけたい者にとっては非常にありがたい。
さらにさらに、付録としてファシリテーターが知っておくと便利なツール、問題・課題・解決策等のフレームワークのイラストが別冊としてついている。この別冊は、ロジカル・シンキングやマーケティングの数々の理論を網羅する大変貴重なものである。別冊を持ち歩くだけでも効果的だと思う。
絶対にお買い得。
ファシリテーターの5つの役割と12の基本動作
★★★★★
「ディスカッション」についてより深く考える機会となった。
話し合いを促進し、ゴールに導くため、ファシリテーターには5つの役割と12の基本動作がある。
* ファシリテーターの5つの役割
o 要約する
+ 論点を明らかにする
+ ポイントをまとめる
+ わかりやすく言い換える
o 検証する
+ 筋道を明らかにする
+ 筋道の歪みを正す
+ 筋道の偏りを正す
o 整理する
+ テーマを分解する
+ 意見を分類する
o 統合する
+ 優先順位をつける
+ 上位概念をつくる
o 構造化する
+ 構図(パターン)を選ぶ
+ 切り口(視点)を選ぶ
本書では、会議の流れや会議の参加者それぞれの発言を、非常に細やかに分析している。
そして、会議の各局面で、具体的かつ論理的に議論を引き出し、意見を検証し、統合するための考え方やツールがぎっしりと詰め込まれている。
これらすべてを読むだけで習得するのは難しいが、まずはさらっと読むだけでも、議論の組み立ての全体像を知ることができるだろう。自分の現場の、日ごろの議論の課題と照らし合わせて、参考にするのも良いと思う。また、各章には、実践的な演習問題も含まれているので、チームのメンバーとじっくりと取り組んでみると、より習得が早いはず。
そして、何より忘れてはならないのは、議論は目的ではなく、手段であるということだ。
本書で紹介される技術やツールは、ゴールがあってはじめて活きてくる。
この点においても、随時確認を取りながら話を進めていることで、ファシリテーションスキル習得を考える我々にとって、自分の考えを見直す良い機会になった。
-------------------------------------------------------------------
まとめの言葉と合意形成のプロセス、それが両輪となって初めて結論への納得が得られる。(p145)
-------------------------------------------------------------------
議論をうまく進めるのは難しいが、この機会をうまく生かすことができれば、チーム作りにおいて、強力な武器になる。
自分のファシリテーションスキルの見直しのために、時々、読み直すことを習慣づけたい一冊です。
論理思考の使い方のヒントになりそう
★★★★☆
論理思考を学びたいという人よりも、
「論理思考を学んだけれど、どう使ったらいいかわからない」、
「自分で考えるのには論理思考は役立つけど、会議や話合いではうまく使えない」という人に役立ちそう。
反面、論理思考について学びたいという方や論理思考を駆使しているという人には物足りなく感じるかも。
様々なHow-to本がありますが、この本は一つのスキルを深く学ぶ本というよりも、いま自分の持っているスキルを結びつける方法が書かれていると思います。
読者の持っているスキルを伸ばすトレーニング方法も書かれているので、論理思考をどうやって使ったらいいのかわからない時のヒントや、これから論理思考を学んでみたいと思っている人には読みやすいと思います。
ミーティングをスムースに導くための良い教科書
★★★★★
ディスカッションの場において、ファシリテーターがどのように論理的に話の進行をリードしていくか?という実践的なテーマにおいて、手法を具体的に展開している良書です。ロジカルシンキングとファシリテーションの基礎を勉強した人には、ネクストステップとなる教材ではないかと思います。
本書の展開は、テーマの設定から最終の集約までの実践プロセスの順に
・想定シーン
・考え方
・具体的な対応策
・ツールと使い方(複数種類)
・留意点や想定外の出来事に対する心構え
など、具体的且つ複数のアイデアをもって解説されています。
議論の場に参加するごとに、本書を傍らに置きながら勉強してみたら、どれだけ自分が成長できるか楽しみになるような書籍です。
「実践」したい人必読の名著
★★★★★
私のように、ファシリテーションを実践したいと願いながらも、
どうやったら良いのか分からずにもがいている人には、
必読の本だと思います。
何より、実践的です。
実践的と謳うノウハウ本はたくさんありますが、この本は、
徹底的に
【どのようにして、ロジカルでない人をも巻き込みながら、
建設的な議論を組み立てていくか】
という点にこだわって書かれています。
職場でファシリテーターを担当することがあるので、
本などでロジカルシンキングを勉強しましたが、それを
実際の話し合いで生かそうとしてもうまく行きません。
この本には、とても具体的に言葉のかけ方、進め方が
示されていて、「あの時、そうすればよかったのか」と
目からウロコがぼろぼろ落ちました。豊富な経験と高い
力量を持つ人だから書ける内容でしょう。
また、著者のあたたかい人柄にも感銘を受けました。
私自身、もともとロジカルな方ではないので、ロジカルな
人を前にすると負い目を感じてしまうのですが、著者は
本の中で繰り返し、ロジカルでない思考をする人の良さ
について言及し、あとがきでは
「ロジカル・シンキングを振り回し、メンバーに論理思考を
強要するのは半人前のファシリテーターのすること。
ましてや、『なぜ?』とメンバーを問い詰め、絶句させて
いい気になっているなどもってのほかです。」
と釘を刺しているのです・・・
スキルを通じて、ファシリテーターのあり方についても
学べる本です。