中堅以上の必須スキルの決定版
★★★★★
議論を効果的・効率的に進めるための板書技術、それがファシリテーション・グラフィックだ。本書では、巻頭実際に著者達が作成したグラフィックのカラー写真が掲載されており、印象的でかつ論理的にまとめられた実例が豊富に掲載されている。
大事なことは、これが技術・スキルであることだ。練習次第で上手になれることだ。上手にできれば、不毛な議論を避け、有効な会議を実現できる。
本書で気に入ったのは、下記の点である。
・グラフィックに必要な線、矢印、囲み、色、アンダーライン等の図形を沢山紹介している。
・単なる図形だけでなく、MECEを意識するためのフレームワーク、SWOT分析やロジックツリーまでも紹介している。
・議論を楽しく、そして心に響くように、くだけた言い回しも躊躇無く使用している。この本の場合は関西弁だ。
・実際の議論の流れ(会話)とファシリテータの考え、そのときに記載した内容を時系列に並べ、どのように板書が出来ていったのか見える実例がいくつか紹介されている。
・進行役のファシリテータと板書役のグラフィッカーが別人の場合の注意事項も記載されている。
・ホワイトボードや模造紙が無ければ、大きめの付箋紙やノートだって良いと主張している。要は、参加者がそこに集中すればいいのだ。
・著者の愛用道具をメーカと商品名まで入れている。これは参考になる。
新人から抜け出し、一定の役割を担うようになったら、一度は目を通すべきだろう。
非常に実践的だがホワイトボード派にはやや不満かも
★★★★☆
ファシリテーションにおいてホワイトボードなりフリップチャートなりに「何をどのように描くか」にフォーカスした、非常に実践的な内容となっています。これを知るだけでもファシリテーションの質が大幅に向上するのは間違いないでしょう。
ただ、「紙のフリップチャートに水性マーカーでカラフルに描く」スタイルにやや力点が置かれており、会社の会議室にある平凡なホワイトボードを明日からファシリテーションに活かす方法を知りたい人には、ちょっと不満が残るかもしれません。
ファシグラの価値を再認識。まずは楽しもう。
★★★★★
「議事録の書き方」を習ったことがあるでしょうか。私はありませんでした。先輩の書き方を真似する程度にしかやってきていませんでした。あるときから議事録の書き方で会議の進め方が大きく変わることに気づき、それ以来、自分が議事録の取り方を教えられるよう努力してきました。
そんなときに出会った本がこれ。ファシリテーションをテーマとした本はたくさんありますが、「グラフィック=板書」に着目した本は数少ないと思います。
本書からファシグラの価値を改めて実感させられました。そしてその機能をより広げてくれました。図解、ロジカルシンキング、マインドマップなど様々な要素を取り入れて、いかに「議論を見える化」するかというテクニックを披露してくれています。
もうひとつ注目すべきところは、「楽しさ」が伝わるところ。さらにたくさんの図例、たくさんの推進例によって「議事録を描く」ことが楽しいことなんだと教えてくれます。
最近、私の部署では3色をつかって議事録を取ることにしました。ファシリテーショングリップを活用して。まわりのメンバーにも良い効果を与えています。みなさんも「楽しむ」ファシグラを実践してみてください。
見える化は記録と構造化の集大成
★★★★☆
ファシリテーショングラフィック自体は、著者の他の書籍でも昔から
語られていましたが、議論の見える化だけに絞った点は興味深いです。
最近では会議室にホワイトボードがあることも当たり前になってきており、
議論の内容を書き出す機会も増えてきました。
特に議論の空中戦を避けるためにも、また合意形成を行うためにも、
書き出して、見える化することは非常に有効だと実感しています。
本書は見える化について、多くの事例と活用方法を記載しており、ホワイト
ボードの前に立つ自分を想像しながら読むと、書き方等は参考になります。
また、著者も「ファシリテーショングラフィックは、情報をグループ化する
作業の連続だ」と書かれているように、情報を分類・整理するトレーニングを
行うことが、議論の見える化上達における必須条件であると思います。
見える化もあくまでスキルの1つとして、まずは主体的、積極的に
ホワイトボードの前に立つことを実践する必要があります。
「板書の技術」基礎から応用まで
★★★★☆
ファシリテーションというスキルには興味がある。会議などで必要なことが的確な時間を使って決めれていないと思うことが多々あり、何とかすることはでき中と考えたのが発端だ。
通読してみると、ファシリテーターの役目、板書を行うことの価値、どのように行えば会議、ミーティングなどの場で目的に沿った結論を出せるかを具体的なケースごとに記載してくれている。非常に実践的な書籍になっていると思う。要約力で傾聴するときに、相手の言いたいこと、言葉には出していないが、前後の意味合いを発想してみることは今後意識してみたいと思う。
板書の行い方ひとつで、会議や会合などの価値は大きく変わってくることは多々あるので、そのような機会の多い人、多数の意見を発散収束する必要のある場によく立ち会う人はぜひとも学ぶべき技術だと感じた。