建築物の雰囲気の基礎となるものについて、ピーター・ズントーは次のように語っている。「その無二の運命とムード、その存在感、安らぎ、調和、美……その魔力のもとでは、ほかのいかなる方法でも経験できないであろうことを経験できる」。ズントーはそうした効果を生み出す建築に情熱を燃やしている。だが、いったい何がきっかけで、人はそのような大志を抱くのだろうか？　『Atmospheres』は建築という形の詩であり、ピーター・ズントーの個人的なインスピレーションのみなもとをのぞく窓でもある。図版をちりばめた全9章でみずからを省みながら、ズントーは建築物の雰囲気を生み出す方法を語っていく。彼に影響を与えた空間や建築の数々は、どれも音楽や文学の傑作に劣らず重要な意味を持つ。材質の構成や存在感から、調和の取り方、光の効果にいたるまで、設計というプロセスで真に大切なものを本書は教えてくれる。