ゆっくりと…
★★★★☆
中心は全巻からの深雪太夫と近藤局長の話で、今回決着がつきます。
深雪の複雑な心情と渡辺さんの絵が合っていて、じわじわと来る良さがある。
クライマックス、深雪が近藤さんを責めるシーンは、ドロドロなのになぜか美しい。
「オトナの色恋」の話でシリーズ中では異色かもしれないけれど、強く印象に残った。
そして最後の一編では、ゆっくりと時代が動いています。
長州戦争、寺田屋事件、と「風光る」の中では明るいセイちゃんの後ろで静かに冷酷に時間が刻まれていますが、このエピソードで「ゼロ時間」が近いことを思い知らされました。
渡辺さんがこの作品で、新選組のどの瞬間までを描かれるつもりなのかは分かりませんが、彼らの最大の衝撃の時は否応なく近付いているのですね。
とりあえず、ちょっと短慮で嫌われ者だったけれど一本筋のとおっていたその方を悼みます。