本書は大正から昭和期にかけて主に推理小説を得意とした江戸川乱歩の作品を掲載した電子書籍の決定版です。単に江戸川乱歩の作品をKindleで読めるようにしただけではなく、より使いやすく読みやすくするために配慮しています。
　
●明智小五郎と少年探偵団を分類して年代順に構成
　江戸川乱歩の作品は大きく分類すると、いくつかに分けることができます。もっとも有名なものは名探偵明智小五郎を主人公とする探偵小説です。そして明智小五郎の助手小林少年率いる少年探偵団が怪人二十面相を相手にする少年探偵団のシリーズです。これらは少年倶楽部などに掲載されたジュブナイルです。それらを含めて短編やエッセイなどの江戸川乱歩作品を126作品、また他の著者が江戸川乱歩に言及した作品を12作品掲載しています。
　
　本書ではより読みやすくするために次のカテゴリーに分類してそれぞれの作品を収録しました。カテゴリーに分類しそれぞれを発表年代順（「火繩銃」は執筆時を採用、「探偵小説の「謎」」は複数の年度にまたがるので、その他エッセイの最後に収録）に並べています。またそれぞれの作品のタイトルは実際の書籍と同じようにするために、作品のタイトルに１ページを割いて、タイトルはページのセンターに配置してあります。
　
・江戸川乱歩小説集（明智小五郎が登場しない作品）
・明智小五郎（明智小五郎が主役の探偵小説）
・少年探偵団（少年探偵団が活躍するジュブナイル）
・その他エッセイ
・江戸川乱歩を語る（夢野久作、小酒井不木、平林初之輔などのエッセイ）

●作者の自作解説を53掲載。
　また江戸川乱歩の作品には、作者解説、自注自解、自作解説などとある作者自身の作品の解説があります。それらはわかる限り「自作解説」として作品の最後に収録してあります。「自作解説」のあるものと図表の含まれているものは下記リストにも表示してあります。なお、少年探偵団の「自作解説」はカテゴリーの最後に一作品として掲載してあります。
　
　収録作品は次の通りです
　
【江戸川乱歩小説集】
　火繩銃　【自作解説】
　二銭銅貨　（図表１）　【自作解説】
　一枚の切符　【自作解説】
　二癈人　【自作解説】
　双生児　【自作解説】
　恐ろしき錯誤　【自作解説】
　日記帳　【自作解説】
　算盤が恋いを語る話　【自作解説】
　赤い部屋　【自作解説】
　盗難　【自作解説】
　白昼夢　【自作解説】
　百面相役者　【自作解説】
　夢遊病者の死　【自作解説】
　一人二役　【自作解説】
　疑惑　【自作解説】
　人間椅子　【自作解説】
　接吻　【自作解説】
　空気男
　湖畔亭事件　【自作解説】
　毒草　【自作解説】
　覆面の舞踏者　【自作解説】
　踊る一寸法師　【自作解説】
　灰神楽　【自作解説】
　火星の運河　【自作解説】
　五階の窓（連作の一部）　　　　　　　　　　　《Ｎｅｗ》
　お勢登場　【自作解説】
　モノグラム　【自作解説】
　パノラマ島綺譚
　鏡地獄　【自作解説】
　人でなしの恋　【自作解説】
　木馬は廻る　【自作解説】
　指環　【自作解説】
　陰獣　【自作解説】
　芋虫　【自作解説】
　押絵と旅する男　【自作解説】
　蟲　【自作解説】
　江川蘭子（連作の一部）　【自作解説】
　目羅博士　【自作解説】
　鬼　【自作解説】
　悪霊　（図表１）　【自作解説】
　柘榴　【自作解説】
　断崖　【自作解説】
　悪霊物語（連作の一部）　【自作解説】
　防空壕　【自作解説】
　堀越捜査一課長殿　【自作解説】
　妻に失恋した男　【自作解説】
　指　【自作解説】
　
【明智小五郎】
　Ｄ坂の殺人事件
　心理試験　（図表１）
　黒手組　（図表１）
　幽霊
　屋根裏の散歩者　【自作解説×４】
　一寸法師　　　　　　　　　　　《Ｎｅｗ》
　何者　（図表１）　【自作解説】
　吸血鬼　　　　　　　　　　　《Ｎｅｗ》
　黒蜥蜴
　悪魔の紋章
　暗黒星　【自作解説】
　兇器　（図表１）　【自作解説】
　月と手袋　【自作解説×２】

　
【少年探偵団】
　怪人二十面相
　少年探偵団
　妖怪博士
　大金塊　（図表２）
　青銅の魔人
　虎の牙
　透明怪人
　怪奇四十面相　（図表７）
　宇宙怪人
　鉄塔の怪人
　海底の魔術師
　灰色の巨人
　探偵少年
　天空の魔人　（図表４）
　魔法博士
　黄金豹
　妖人ゴング
　魔法人形
　サーカスの怪人
　まほうやしき
　赤いカブトムシ
　奇面城の秘密
　夜光人間
　塔上の奇術師　（図表２）
　ふしぎな人
　仮面の恐怖王
　鉄人Ｑ
　かいじん二十めんそう月刊誌「たのしい二年生」に連載。
　かいじん二十めんそう月刊誌「たのしい一年生」に連載。
　電人Ｍ　（図表２）
　おれは二十面相だ　（図表６）
　怪人と少年探偵
　妖星人Ｒ　（図表２）
　超人ニコラ
　自作解説　—怪人二十面相と少年探偵団—
　
【その他エッセイ】
　映画の恐怖
　ある恐怖
　墓場の秘密
　お化人形
　声の恐怖
　旅順海戦館
　少年ルヴェル
　文学史上のラジウム　──エドガア・ポーがこと──
　人形
　非現実への愛情
　妖虫
　瞬きする首
　マッケンの事
　郷愁としてのグロテスク
　群集の中のロビンソン・クルーソー
　スリルの説
　鬼の経営する病院
　レンズ嗜好症
　残虐への郷愁
　人花
　一人の芭蕉の問題
　「幽霊塔」の思い出
　病める貝　──Ｅ・Ａ・ポー逝きて百年──
　小栗虫太郎君
　随筆銭形平次　─探偵小説このごろ─（野村胡堂との対談）
　こわいもの（一）
　こわいもの（二）
　ヒッチコックのエロチック・ハラア
　透明の恐怖
　フランケン奇談
　探偵小説の「謎」（図表５）　　　　　　《Ｎｅｗ》
　
【江戸川乱歩を語る（＋11作品）】
　江戸川乱歩氏に対する私の感想（夢野久作）
　「二銭銅貨」を読む（小酒井不木）
　日本の近代的探偵小説―特に江戸川乱歩氏に就て―（平林初之輔）
　「心理試験」序（小酒井不木）
　『心理試験』を読む（平林初之輔）
　江戸川氏と私（小酒井不木）
　「陰獣」その他（平林初之輔）
　乱歩氏の諸作（平林初之輔）
　三十六年前（森下雨村）
　江戸川乱歩（平林初之輔）
　乱歩氏と私と（野村胡堂）
　乱歩分析（大下宇陀児）　　　　　　　　　　　《Ｎｅｗ》
　
●iPhone用目次を追加
　Kindle用電子書籍の目次は二種類あります。一つはKindle PaperwhiteやKindle FireなどのKindleデバイスで表示される目次です。もう一つはepub3で決められた目次で、iPhoneで目次をメニューに表示させるにはepub3の目次が必要です。本書ではそれぞれの作品にアクセスしやすくするために、iPhoneのメニューから書籍の巻頭と作品のタイトルを開けるようにしています。iPhoneのKindleをお使いの場合、メニューをスクロールするだけで、読みたい作品に簡単にアクセスできます。
　
　本文フォントは明朝体を指定しておりますが、明朝体が搭載されていないデバイスでは、本文フォントは明朝体で表示されないこともありますので、ご了解ください。なお、画像化した外字を挿入しているため、文字はすべて黒で指定してあります。KindleデバイスやKindleアプリでは、背景色を黒にすると、テキストが表示されません。背景色は白もしくはセビアでお使いください。
　
　第九版において、ご指摘のあった「屋根裏の散歩者」他20作品を校正版と差し替えました。また「屋根裏の散歩者」には光文社版「江戸川乱歩全集」に収録された作者の自作解説を４つ追加しました。
　
　なお、収録した作品の中には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を掲載しています。
　
　本書は江戸川乱歩作品を快適に読めるように配慮して電子書籍を作成しています。是非、無料のサンプル版をダウンロードしてご確認ください。
　
第二版　「心理試験」を追加
第三版　「日記帳」追加
第四版　「怪人二十面相」を追加
第五版　「屋根裏の散歩者」他82篇＋11を追加。カテゴライズして収録。
第六版　「映画の恐怖」などのエッセイ19作品を追加。
第七版　「暗黒星」「月と手袋」他エッセイ10作品を追加。
第八版　「江川蘭子」「悪霊物語」他エッセイ２作品を追加。
第九版　「悪魔の紋章」他エッセイ１作品を追加。「屋根裏の散歩者」他校正版に差し替え。
第十版　「一寸法師」「吸血鬼」「五階の窓」他計５作品を追加。