しばしば取沙汰されるのは『42行聖書』。1ページ42行からなるこのインキュナビュラは、15世紀に始めて活版で印刷された聖書とされ、グーテンベルクが印刷に深く関わっているとされる。
180~200部しか刷られなかったこの稀覯書中の稀覯書を、1987年に丸善がオークションで落札した。そしてそれを1996年に慶應大学が購入し、解析などの研究を進めている。著者はこの「HUMIプロジェクト」の稀覯書研究チームの担当であり、『42行聖書』にとても近い人物だ。
福澤諭吉のすすめで創業したという、慶應と縁深い丸善が競り落としたグーテンベルク聖書を慶應大学が買ったのは96年のことである。貴重書を傷めず研究出来るようにし、容易に本どうしの比較が行えるように、本をデジタル映像化するHUMIプロジェクトを率いる高宮教授ならではの本。写本の歴史や、中世の大学教科書について触れたあと、印刷の発明に関する諸説を分かり易く解説する。
ほかに、印刷時代の写字生のゆくえ、イギリスでの印刷(キャクストン)、禁書目録などについて。
「活版印刷術」の黎明期・発明前夜に関する幅広いトピックを、グーテンベルクが印刷した「42行聖書」を中心に、14のエッセイで綴る。終章には、マルチメディア時代(=現代)の話題として、「42行聖書をはじめとする稀覯本のデジタル化」も。
とにかく面白い。
写本、インク、印刷方法、出版、宣伝…「活版印刷術」前後に関する広汎なトピックを扱っているが、書誌学の専門的な知識を持ち合わせていなくても、本好きなら飽きることなく読めるだろう。
慶應義塾大学『HUMIプロジェクト』のホームページで、デジタル化された「グーテンベルク42行聖書」を眺めながら読むのもよし、東京 飯田橋にある 『凸版印刷 印刷博物館』 へ現物(一葉のみ)を見に行く際に携行するもよし。
…良い本は、様々な楽しみかたを想像させてくれる。
「活版印刷術」の黎明期・発明前夜に関する幅広いトピックを、グーテンベルクが印刷した「42行聖書」を中心に、14のエッセイで綴る。終章には、マルチメディア時代(=現代)の話題として、「42行聖書をはじめとする稀覯本のデジタル化」も。
とにかく面白い。
写本、インク、印刷方法、出版、宣伝…「活版印刷術」前後に関する広汎なトピックを扱っているが、書誌学の専門的な知識を持ち合わせていなくても、本好きなら飽きることなく読めるだろう。
慶應義塾大学『HUMIプロジェクト』のホームページで、デジタル化された「グーテンベルク42行聖書」を眺めながら読むのもよし、東京 飯田橋にある 『凸版印刷 印刷博物館』 へ現物(一葉のみ)を見に行く際に携行するもよし。
…良い本は、様々な楽しみかたを想像させてくれる。