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宮大工千年の「手と技」―語りつぎたい、木を生かす日本人の知恵

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 祥伝社
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   著者は、文化財の保存修理を手がけている「技術者の人間国宝」である。17歳で宮大工の世界に入って以来、70歳を超える現在に至るまで、全国各地の国宝や重要文化財建造物の保存修理工事に従事している。その松浦が、前著の『宮大工千年の知恵』に引き続き、古くから伝わる大工の「知恵」を、「手と技」を使って、どうやって形にしているかを紹介しているのが本書である。

   本書は、具体的な大工道具や建築物を例に挙げながら、いにしえの大工の技を紹介している前半部分と、松浦の仕事や後継に対する考え方などが述べられている後半部分とに分けられる。柔和な語り口調の文体で書かれているため、とても読みやすく、理解しやすい。また図版も多く、たとえば、大工にとっては電卓よりもはるかはるかに実用的であるというサシガネについても、図版を見ながら説明を追うことで、実際の使い勝手を実感できるようになっている。

   松浦は、現在ではプレカットされた木材が用意され、確かに大工仕事は楽になったが、そのために学ぶことができなくなった技術があるということを語っている。今の若い者は…というセリフを吐く代わりに、失われた風習や心意気の意味を淡々と説いているその語り口からは、宮大工の仕事を伝えにくくなった時代に対するあきらめのような気持ちとともに、良い大工になりたいと考えている若い人の発憤を待っているような、複雑な気持ちを感じる。(朝倉真弓)