エルヴィス・コステロとの結婚はダイアナ・クラールにとって、単なる私生活上の出来事ではなく、音楽的にも深い意味があったことをこの作品が物語っている。これまでスタンダードを中心に歌ってきたダイアナが、このアルバムでは約半分の曲を自作、その多くをコステロと共作しているのだ。それに加えて、コステロの代表曲「オールモスト・ブルー」まで歌っている。ほかにもトム・ウェイツやジョニ・ミッチェル、モーズ・アリソンの曲も取り上げられていて、これほどはっきりコステロ色が出ているのに驚きだ。
ここに聴かれるダイアナはコステロ的というかシンガー・ソングライター的というか、これまでとはひと味違ったスタンスで、新たな魅力を打ち出しているのが印象的。ブルース調のナンバーが多いこともあって、全体にブルーなムード/カラーで統一されている。(市川正二)
AUSTRALIAN TOUR EDITION
★★★★☆
エルビスコステロを引用するまでもない。(不謹慎かもしれないが)こういった美人シンガーが泣き節(vocals & piano)を作れるところにふところの深さを感じる。2010年モントルーフェスでも喝采を浴びたことはじゅうぶんに美貌を上まわる実力と旋律の美しさを裏付ける。次の曲のLive Versionが入ったDVDが日本国外では出されている;BONUS DVD: "Temptation", "Abondoned Masquerade", "Narrow Daylight" etc.
The girl in the otherroom
★★★★☆
すでに何回もCDで聴いている作品だが、SACDの音質を期待して購入した。
このアルバム以前にはスタンダード曲を主体に大編成オーケストラをバックにしたポップス的な内容のものが多かったのだが、この作品では、これまでジャズではあまり取り上げてこなかったオリジナル曲がほとんどで、ダイアナの新しい挑戦が認められる。
SACDではさすがにCDより優れていることはステレオ2チャンネルでも明らか。 さらにマルチチャンネル(5.1ch)では、まずアコーステックベースとドラムの低音、ダイナミックレンジの伸びに感心した。 ダイアナの声もハスキーに震えるところまで再現され、眼前に浮き上がってくるように定位し、奥行き感が立体的に構成されている。 ボーカリストとしてのダイアナの声はもともと音域も狭く、ノビもないものだが(J.モンハイトやR.ガンバリーニのような美声ではありませんな)、その独自の表現力やジャズフイーリングが、彼女の持味であり、CDでは聞き取れなかった声のヒダにまでこのアルバムかける意気込みを感じさせられたのには驚いた。(特にトラック1、2、3、5などが素晴らしい)
また、ピアノの音も素晴らしく、ダイアナのピアノってこんなに上手かったかと思わせるほどで、ジャズピアニストでも食っていけそうである。 音がよくなると作品の内容までガラリと大化けすることが時折あるが、SACDマルチチャンネルによって初めてこのアルバムの真の評価が可能となったのだ。 CDで聴いていたのは、一体何だったのか。
CDでは平凡な出来の3つ星の評価であったが、4つ星を進呈してもよい評価アップとなった。(最近のレビュー評価は5つ星が多すぎる、そんなに簡単に5つ星を乱発していては真の傑作には6つ星が必要となってしまうではないか?) 音質の点でもオーディオマニアにもすすめられるディスクと言えるだろう。
のめり込んで行く
★★★★★
曲ばかりで聴けば聴くほどはまって行きます。
ブルースが好きな人にもお勧めのアルバムです。
渋い
★★★★★
個人的な好みでは「Live in Paris」と「All for You」の方が好きですが,このCDも彼女の渋さがよくでていてスウィング感がとてつもなくかっこいい曲もあって楽しめます.曲調的にはポップス的なものからジャジーなものまで幅広い.ピアノは以前のCDよりもよかった.
今最も注目されるジャズヴォーカル
★★★★★
今回、最も注目されるのは、私生活ではコラボレイションを始めた Diana-Elvisコンビの音楽面でのコラボレイションの結果を示した6曲に及ぶ「共作」の作品だ。作詞作曲をDiana-Elvisで、様々に変えた6曲は、グラミー賞受賞歌手同士のコラボレイションとしても素晴らしい。
ジャズ・ミュージシャンとしての実力とポテンシャルを見せてくれた事は賞賛に値する。ダイアナこそは、ある意味で正統派のジャズヴォーカルの系譜を継ぐ本当の実力者と言えるだろう。
ちなみにこのSACDはハイブリッド仕様である。