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戦後戦記 中内ダイエーと高度経済成長の時代

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 平凡社
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佐野流の”葬儀”である。 ★★★★☆
2005年に死去した中内の葬儀は、流通科学大学の学園葬として営まれ、社葬は行われなかった。傑作ノンフィクション『カリスマ――中内功とダイエーの「戦後」』を書いた佐野は、それに憤り、佐野流に行った“葬儀”が本書である。とりわけ堤清二との対談「戦後日本人の豊かさと貧しさ」は中内の追悼にふさわしい。
中内功とは何者だったのか ★★★★☆
名作「カリスマ」で描ききれなかった中内功とダイエーおよび日本の戦後史・社会・消費文化を多方面から分析・評論した本。冒頭部は「カリスマ」の続編的に中内功の最晩年と逝去・ダイエーの再生について。中盤は各分野の作家・評論家によるダイエーと中内功について戦後史における位置づけと総括を多方面から行っています。中村うさぎさんの「エルメスのバッグを買う人はバッグを買うのではなく『エルメスのバッグを持ち歩く私』のイメージを買っている」という評論が面白かったです。
後半で西武の堤清二氏と佐野氏の対談。最後に中内ダイエーの墓碑銘的な年譜と写真。
カリスマを読まれた方にはおすすめできます。
ダイエーを通して戦後日本を識る ★★★★☆
「カリスマ」をはじめ、佐野さんが書いた、ダイエーに関する記事を色々と読んできましたが、この本はその集大成。
常々佐野さんが言ってきた、「ダイエー 中内功を通し、戦後日本の歩みを振り返る」というテーマでの集大成といえる一冊です。
これまでの本とは違い、色々な角度からの記事が集まっています。
面白かったのは、西武の堤さんとの対談。
佐野さんが堤氏に取材するだけで十分興味深いですが、「ダイエー 中内功」をテーマに語り合っているがゆえに、
自分に対して取材されるんではないだけに堤さんが自由に話している感じがして、面白かった。
「日本の流通産業」を振り返る上でも、欠かせない一冊です。
(星が四つなのはちょっと本の値段が高いことと、誰もが興味がある本ではないという点で)
佐野眞一による中内ダイエーの総括 ★★★★☆
佐野眞一「著」ではなく「編著」なので、全て彼が執筆した作品ではない。構成は次のとおりである。

(第1部)
ダイエーの産業再生機構入りから、中内の死と葬儀までを追い、その間の社会の動きも加味したドキュメントが記された第一章と、中内とは正反対の人物であろう鈴木敏史(セブン&ワイホールディングス代表取締役会長)をはじめとする、流通業界の著名人へのインタビューを交えた中内ダイエー論が記された第2章からなっている。これは佐野眞一の筆によるものである。

(第2部)
学者など9名によるダイエー及び中内の評論

(第3部)
佐野眞一と堤清二(セゾングループ元代表)の対談。かなり面白い対談である。

佐野眞一は経済学者ではない。その人物をそれ程突き動かしたものは何かという合理的な説明がつかない人間の情念みたいなものを炙り出そうとする作家である。中内ダイエーの盛衰を描いた「カリスマ」にしても、そもそもの興味はダイエーではなく中内である。中内=ダイエーなのだから結果的にダイエーという企業を描くことになっても、彼の視点は中内にあったはずである。彼が筆をとった第1部と対談者となった第3部にはそれが色濃く反映されている。

作品の内容と関係ないが、いつの時代の本なのかと思えるような絵と表紙に首をかしげたのだが、この絵は非常に意味があることがわかると、結構いいのではないかと思えてきたのが不思議である。

いきなりよんでも興味深く読める作品であるが、やはり「カリスマ」を読んでから手に取ったほうがいいように思う。