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意識の探求―神経科学からのアプローチ (上)

価格: ¥3,360
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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NCC(意識を発生させるのに十分な最小の神経活動)を探す ★★★★★
本書は神経科学の高度な内容が取り扱われているが、書き方が平易なので、素人でも読みすすめられる内容になっている。

筆者は、まず方針をNCC(意識を発生させるのに十分な最小の神経活動)を突き止めることだとする。

その方法として、意識のうち、もっとも研究が簡単な視覚について、集中的に研究するという方法を採用する。



本書の重要な部分だけ拾い上げるとこんな感じだろう


意識は、ニューロン連合による規則的な発火である。

NCCには、ニュ−ロンによる明示的な情報の表現が必要である。例えば、テレビに人の顔が映されていた場合、ブラウン管の明示的表現は個々の赤・青・黄色のon・offのみであり、顔が映っているという情報はあくまでも暗示的なものにとどまる。だがこれを、顔が映ったら点灯するランプに置き換えれば、顔が映っているという情報は明示的になる。

感覚皮質はコラム構造を持っている。コラム構造に含まれるニューロンは、特定の刺激(赤いとか、右にあるとか、上に向かって動いているとか)に強く反応する。複数種類の刺激に同一のコラム構造が反応することもある。このコラム構造によって示されている情報は明示的な情報だといえる。

脳の部位のうち、そこを破壊されると意識のある特定の側面(色の知覚とか、顔の認識とか)のみが欠落するようなものを、エッセンシャル・ノードという。


脳は特定のものに注意を向けることで、情報が過剰に入ってくるのを防ぐ。そして、意識に上る情報は、入ってきた情報のうちのごくわずかである。注意は、競合するニューロン活動の一方を優位にする働きを持っている。また、注意は見慣れない特徴同士を結びつける役割も持つ。
ただし気をつけるべきは、注意を向けていなくても意識に上ってくる情報はあるということだ。


我々は、無意識の状況下で多くの活動(習慣的動作など)をすることが出来る。これをゾンビ・システムと呼ぶ。
しかし、ゾンビ・システムにも欠点はある。ゾンビ・システムは、刺激から行動までを瞬時にしか行うことが出来ず、一定の時間を置いて次の行動をするということができない。刺激から一定の時間をおいた行動は、意識に基づいてしか行えない。


意識の機能は、複雑なニューロン発火を単純な情報(これが質感となる)に要約して、決定を下しやすくすることである。また、意識はどのようなゾンビ・システムを構築するか、を決めるのに重要な役割を果たしている。


意識についての興味深い理論として、意識の中間レベル理論というものがある。これは、意識がアクセスできるのは「物的世界の表象」と「思考の表象」だけであるという説である。思考それ自体は意識が行うものではなく、思考・概念形成などをつかさどる非意識の脳部位(これを筆者は非意識ホムンクルスと呼ぶ)で行われている。意識は、非意識ホムンクルスが出してきた結果にアクセスできるだけなのだ。




さて、内容ではなく、訳について気になった点があるので挙げておく。
訳それ自体は悪くないのだが、ところどころ慣例訳を無視したところがあるので、それはいただけない。
例えば、ネーゲルの「コウモリであるとはどのようなことか」を「コウモリになるとはいったいどういうことか」(p1)と訳していたり、「分離脳」を「分断脳」(p529)と訳していたりする。
訳者にはもう少し注意を払っていただきたかった。
意識学の教科書として ★★★★★
この本の最大の特長は帯にあるように、科学の知見が無数に集められている点で、意識に関する主張を書いた本というだけでなく、意識の教科書として秀逸なのではないかなと思います。
とかく、意識に関する本というと、大雑把すぎることを承知でいえば思弁で何かよくわからないことが書いてある(そして、あまり科学的には生産性がない)、物理で何かよくわからないことが書いてある(が、例によって科学的に検証されることはない)という感じで、要するにまだまだ科学の対象としては程遠いことがわかるだけというような感じで、意識の科学というべき本はないのかと思っていたのですが、そういう系の人(思弁に意味を見だせない。御託はいいからevidenceをよこせ派の人)には最適だと思います。著者やクリックは、よく意識を科学の土壌に載せた、彼らのおかげで意識の研究といっても、笑いものになることはなくなったという点で評価されることが多いですが、そのことがよくわかる本だと思います。
ただ、著者自身は相方だった人(哲学は数千年、意識を研究して何も生み出さなかった。もうお役御免だろというようなことを言ってはばからない人)と比べると哲学に鋭い問いをたてたことなどとても高く評価をしているのではないかと思います。
ただ、著者自身の主張、他説の批判となると2つ気になることがありました。1つは、仮定がいつの間にか事実に摩り替わったかのごとく話が進んだり解釈が行われること。(NCCがシングルニューロンの活動から検出される、NCCは前頭部と関係がある、そもそも意識が神経系の相互作用を通して生じ、そういうものを通してしか生じないなどの仮定がいつの間にか前提になって話が進む)。2つ目は他説をすっぱり切り捨てすぎること(現時点でそこまで断言できんだろうという感じがする論評が多い。)。
非常に興味をそそられる本 ★★★★★
神経科学のものを読むのは初めてでしたが、とても分かりやすく、かつ、推理小説を読むように、次に何が提示されるのかとても興味を刺激されました。翻訳が良く、読んでいる間、感覚が研ぎ澄まされるような感覚も味わいました。自分の意識や感覚を再確認する目から鱗の良書です。
事実の積み上げだけでも、科学はエキサイティングなほど面白い。 ★★★★★
脳科学関係では10年に1度の素晴らしい本。

「意識」

哲学ではこれまでギリシア時代以降、何千年も論じられても、科学では
定義すら定まらない、難しく、捉えどころの無い事象。それを、実験的に
積み上げられた「定量的」な事実と、それに基づくモデリングで説明する。

定量的なモデルと分析結果のすり合わせを行い、螺旋のように一歩一歩
モデルの精度を高めながら、一般化を目指すのが、実験科学であり、
意識の研究がそのフレームワークに入った時代を象徴する、
記念碑的な労作と言える。

意識研究の「権威」が時々する
「前提なし新コンセプトの提案、宗教がかった飛躍」
が無く、「オッカムの剃刀」に従っている所にも、科学者としての誠実さを感じる。

Daivid Marrが計算論的視覚研究を先駆けてから30年。
計算論的意識研究の入り口にやっと我々は立ったのでは?
初学者でも読破できる好著 ★★★★★
少なくとも上巻は教科書的な要素が強い本です。
それゆえわかりやすいという事が特長としてあげられます。
私の様な初学者にも十分ついて行ける好著です。
翻訳もこなれていて読みやすいと思います。