ランダウが統計力学を理解しているのか疑問に思いました。

本書は統計物理学をランダウ流に記述したものである。本書をあそこここ読んでみたがどこを読んでも何と言っても論旨が明快であるので落ち着いて読めば理解できるのである。本書を読む際は是非余計なことは考えないで落ち着いて読んでいただきたい。重要なのは普通の教科書のようにああきたらこうというのではなくじっくり読むことである。

レフ・ランダウの「理論物理学教程」はソ連の科学者が書く典型的な講座の一種「極めて懇切丁寧で学生に独習が可能な記述で構成されている」であり、特にその中でも「場の古典論」ー古典電磁気学と相対論、そしてここに挙げている統計物理学は出色の出来映えとの評価が高い。
しかし独習が可能とは云うが、本当に学部レヴェルで、この内容のすべてを消化できるのであろうか？然も内容は多岐に渡っており、理論物理の全般的基礎と云ってもよい。
モスクワの物理問題研究所のランダウグループでは、この教程が理論ミニマムであるという。ミニマムという事は、「最低限」この教程程度の内容は、完全に消化している事が、ランダウ・グループに入る前提だということだ。
ソ連時代の物理グループは、大変に高度なレヴェルを保持していたらしい、ランダウの他にも、イゴール・タムやヤコフ・ゼルドビッチ、アンドレイ・サハロフなど、クルチャトフ研究所に関係したクループだ、この核物理から天体宇宙物理グループは、強力な理論グループである。ソ連時代の数理物理の教育過程はどうなっていたのだろう？
多く、軍事技術と結び付いた数学・物理研究グループが在った事は確かだが、それは事の大小を言えば、どこの国にもある事だ。

ランダウは極低温下の理論的業績で有名である。超伝導、超流動、第二音波、や強磁性、反磁性など統計物理が扱う分野が得意な人であったのか？しかも、相当広い分野を自己の活躍分野とした、凄い人でも有った様だ。もし君たちが、理論物理を仕事に仕様とするなら、何でも知っていなくては成らない、と、弟子達に口癖の様に云ったと言う。　天体物理学に於いてパルサーが発見された時、その本体は、しばらく謎であった。星の一生の終焉に起こる収縮と爆発の過程で、その質量に応じた結末が待っている。ランダウ達は研究論文の中で、パルサーが発見される以前に既にその存在を予言していた。