技術屋にはたまらない作品
★★★★★
先端的な産業は中小企業の周辺技術抜きには成り立たないこと。基礎研究がおろそかになっては将来先端的な技術が醸成されえないこと。理学から技術への橋渡しをするには優れた人材が必要だということ。産業や市場にはタイミングがあって逃せば取り戻すのは容易でないこと。他人のデータを頭から信じることなくとにかく自分でやってみること。そういう技術屋にとって当たり前と思われがちな経験則を、映像素材がドラマティックに語りかけてくる。流行のビジネス書をたくさん読むより、学び、感じることが多いと思う。私自身学生のとき「自叙伝」を観て理系の企業に勤めることを決めたし、勤めて経験を積むにつれ、この作品で語られていることの大切さを実感している。番組の終盤、故ロバート・ノイスが日本の産業界の独創性のなさを批判していたが、21世紀の今、新しい事業の柱が見当たらず混迷しているメーカたちにとって、改めて考え・感じさせられることだ。そしてこの作品と重なりをもつ最近の出来事として、日本人の多くが探査機ハヤブサの帰還に感銘を受けたが、それは設計から帰還までの道のりのなかで、技術が好きな人や独創的な人が介在したということを感じ取ったからだ、と思う。
内容は凄くいいのですが音声が、、、
★★★★☆
タイトルの注意書きにもありましたが、音声がかなり聞き取りにくいです。
それ以外は完璧です。
また、買ってしまいました
★★★★★
LDでもっているのですが、機器の故障によりみることができず、DVDを購入しました。
また、買ってしまったのは、この中で証言している方々のお話に聞き惚れているからなのですが。
相田さんの仰るいきのいい話ですね。
物量や科学的なアプローチで迫る米国に対して、日本の研究者は本当に徒手空拳というか竹槍戦法というか。
しかしながら、その真摯で、賢明な姿勢に涙が止まりませんね。
よくもこれだけの証言を集めたことか。
本作からの3部作ともいえる後継の”新電子立国”、”マネー革命”もDVD化を強く希望いたします。
相田作品で言えば、”自動車”もDVD化を強く希望します。
念願叶う
★★★★★
半導体の発明からコンピュータの発展までを追う番組ですが,とりわけ前半のトランジスタでの試行錯誤の話が非常に興味深く感じました
かなり専門分野的な話題になりがちながらも,それを非常に分かりやすく丁寧に教えてくれるので,付いていこうと思えば初心者でもきちんと理解出来る内容だと思います
出来れば映像特典として,「その後の電子立国」のようなものを追加収録して欲しかったな...と思います
「ビジコン」社にかかわった者として。
★★★★★
ビジコン・グループ(小島社長:日本計算器含む)はマイクロプロセッサ‘MPU’の開発で取り上げられることが多いのですが、既に同時期、液晶ディスプレイやバブルジェットプリンタ の開発も熱心に手がけておりました。
液晶は、時計のディスプレイ(世界初の実用製品)として、三越百貨店(岡田社長)より発売され、バブルジェットプリンタは、NCRのサーマルプリンタ技術に触発され普通紙ノンインパクトプリンタとして実用化に向け開発途上にあり、同様のプリンターを高千穂交易がドイツABディック社から輸入していましたが、共にコンシューマユースには未完成な状況でした。 なお、小島社長と米国NCRのCEO:William S. Anderson (1973-1995)氏とは、彼が香港在住中から交流がありました。
この様に、当時のビジコンGには‘チャレンジ精神’に溢れた若い研究者がおり多くの成果をあげておりましたことも是非知って頂きたいと思います。
〜 研究者の皆さんは京セラ・堀場製作所・TI 始め国内外の企業に移られ今もなお活躍しておられます 〜
マイクロプロセッサ‘MPU’の開発は、三菱電機が米国「TRW」社より技術導入し、同社鎌倉製作所(太田所長)で製造した‘M1530’が、それまでのワイヤードロジックから大幅にソフトウエアロジック(現在の‘ファームウエア’に相当する)の概念を取り入れており、当時のビジコン汎用コンピュータ保守技術者はこのことを良く知っていました。 ‘M1530’は、ポラリス型ICBMを搭載する原子力潜水艦に積載する目的で開発された制御用のコンピュータであり、極力コンパクトに造る必要があったため、この様な設計思想を採用したと思われます。
〜‘M3100’は‘M1530’の周辺装置を変更した廉価リメイク版であり、アーキテクチャー&ロジック はほぼ同一です 〜
当時、同製作所ではロッキードF104J戦闘機の電子装置をノックダウン生産しており、その部品の中に‘IC’が含まれていた? 記憶があります。
一方「モステック」社は、MOS型LSIの高密度化技術を持ち、12桁の「1チップ」低消費電力のLSIをビジコンの依頼で開発しました。 ただし、熱分布に課題がありクロックは外付けでしたが、同時期のシャープ製品はまだ「4チップ」構成LSIセットを使用している段階でした。
顧客ニーズを満たすためには、大規模LSIの開発が必須でしたが、開発コスト・開発期間、が高機能化につれ大幅に増大するうえ、デバッグ作業も大変(パターンの修正が必要)でした。
上記2社から得た知識に加え、ビジコン社の汎用ニーズとそれを満たす‘優れた発想力’、‘嶋君の努力’及び‘幸運’、創業間もないインテル社(R.ノイス)の‘ハングリー精神’が、世界初の‘4004 MPU’=‘1チップ汎用CPU’を生み出した、と考えております。
〜 ビジコンGは「アイデア」のみならず「資金・人材」の提供をも行い、単に開発や生産の委託をインテル社に行ったわけではありません 〜
秋田大学医学部医学研究科教授 中村 彰氏の研究テーマ(文科省助成)として、「MPUが生まれた、ビジコン社の開発環境・雰囲気・背景」が取り上げられておりますことを2007年1月に知りました。
〜 私たちが青春の夢と希望をかけた「ビジコン」社の記録です! 〜
「パソコンウォーズ最前線」(田原総一朗 著)には、マイクロプロセッサーの申し子、“スモールコンピュータ(オフコン)”〜“パーソナルコンピュータ(パソコン)”開発先駆者達の興味深い話が載っています。
〜ご参考〜
謄写版<ガリ版>の発明者・堀井新冶郎夫人と日本計算器(ビジコン)創業者の小島和三郎夫人は姉妹です。