【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:杉原理生/著 出版社名:幻冬舎コミックス 発売所名:幻冬舎(発売) シリーズ名:幻冬舎ルチル文庫 す2-3 発行年月:2008年03月 関連キーワード:スロ- リズム ゲントウシヤ ルチル ブンコ ス-2-3 すろ- りずむ げんとうしや るちる ぶんこ す-2-3、 ゲントウシヤコミツクス ゲントウシヤ 2076 げんとうしやこみつくす げんとうしや 2076、 ゲントウシヤコミツクス ゲントウシヤ 2076 げんとうしやこみつくす げんとうしや 2076 水森に毎週2回必ず電話をかけてくる矢萩は、高校のときからの付き合いで一番身近に感じられる友人。だが、高校生の頃、ゲイである事を告白した矢萩はすました顔をして「安心しろよ、おまえだけは絶対に好きにならないから」といい放った。あれから12年。その言葉どおり水森と矢萩はずっと友達でいるが…。単行本未収録作品&書き下ろしで待望の文庫化。
染み入る想い
★★★★☆
大切すぎて失うことが出来ないために水森に対して友人という関係を12年もひたすら守り続けてきた矢萩。高校時代に矢萩にゲイだと打ち明けられ、同時に何故だかお前だけは絶対に好きにならないと宣言され、その真意が分からずずっとモヤモヤした気持ちを引きずってきた水森。この2人の12年来の友情がゆっくりと恋愛関係に進展して行く様子が丁寧に描かれています。愛の告白シーンでは目が潤んでしまいました。”愛してる”の重さをずっしり感じました。
最後に一読者としての勝手な希望を言わせてもらうと、高校時代に矢萩が水森をどう言うきっかけで好きになったのかとか、恋煩いする高校生矢萩の詳細な話をもう少し入れて欲しかったです。
果物が熟すように
★★★★★
高校からのつきあいの水森と矢萩は親友以上恋人未満の微妙な関係をもう12年も続けている。少し鈍感な水森は矢萩の気持ちも自分の気持ちもはっきりとわからない。矢萩の言った「おまえだけは絶対に好きにならない」という言葉が、ふたりの間に薄い壁を作っている。そんなの逆の意味に決まってるじゃん、と読んでいて誰もが思うが、彼らの友人達もわかっている。いや、水森だってわかっている。それなのに一向にふたりの距離は近づかない。
ゆっくりと果物が熟すように水森の気持ちが形になっていく。そうして自分の気持ちを自覚した水森は強い。水森が好きすぎて臆病になってしまう矢萩のこだわりを壊してしまうほど。矢萩も水森も友人の木田も後輩の堀田も、他人のことを思いやることができる大人として描かれている。これまで読んだ杉原さんの本はみんな、『37℃』も『硝子の花束』も『恋の予感』も、人の気持ちを大事に描いているところが好きだと思った。
もう少し盛り上がりが欲しかった。
★★☆☆☆
ある所でレビューを見て、非常に期待しながら読みました。
二十代後半の普通の会社員同士という設定からして非常にツボで、作品全体に漂う淡々としていながらもどこか切ないような雰囲気は好みだったのですが、自分にとっては少し盛り上がりにかけるというか、ずっと同じようなペースで本当に淡々と終わってしまったように感じられました。
ちょっとドキドキしたシーンといえば、二人の想いが初めて通じ合うところくらいで、あとはずっと「まあ、そうだよね」という感じで、特に感情移入することもなく傍観していた感じです。
この作品の雰囲気に合わせるためなのかもしれませんが、ベッドシーンもサラッと描写されているだけで、一応入れてあるという感じがしました。
もう少し刺激みたいなものも欲しかったかな、という作品です。
しっかりした心理描写が良かった。
★★★★★
非常にしっかりした心理描写が良かったです。内容も自然で、地に足が着いた作者の真面目さが窺える作品でした。普通の感覚ってこんなものですよね。相手が本当に大切だからこそ、相手を失いたくないからこそ臆病になってしまう、矢萩の気持ちは実によく分かります。自分の気持ち以上に相手の気持ちを思いやって尊重する。それこそ本当の愛情ではないでしょうか?躰だけ奪ったところで相手の心がそこになければ無意味で虚しいだけです。矢萩はそれを知っています。理性的で利口な男だと思います。ゆっくりとしっかりと相手を思いやって来たからこそ、矢萩は彼の恋を成就出来たのでしょうね。水森はかなり人の心の機微に疎いです。ちょっと疎すぎるくらい。でも私は結構水森はお気に入りです。こんなタイプの人間ってかなり好きかも知れない。何より女々しくないところが良いですね。ちょっと頭で考えすぎて口に出さなさすぎなきらいはありますが、そこは矢萩も同様で…。それでいて、きつい言葉は余り考えなくポロッと出してしまう。何かとても人間的ですよね。ま、ちょっと天然?なかなか味があります。登場人物にイヤな人がいなかったのも読後感が良かったのかなァ?人物の心理描写がしっかりなされていて、独り善がりでなく、この作者の他作品ももっと読んでみたいなァ、と思わされた作品でした。
ゆっくりと、けれど確実に
★★★★★
スローにもほどがあるけど多分現実ならばこれがほんとう。
自分の気持ちに気づかないフリをして、相手をはぐらかしたままつづいていく「友情」。
何故ならその気持ちは決して周囲に祝福されないことだから。
けれど社会的に「問題のない」日々を望みながらも本当に、彼をうしなうとなったら?
主人公のグルグルする気持ちのなかにある狡さや弱さより想いの強さが強くなる過程がじわりじわりと読み手に伝わります。
木下けい子さんのイラストがハマりすぎるくらいはまる作品。
木下さんの漫画『キスブルー』が好きな方なら機会があれば手に取られてみても。