「我を救いたまえ」
★★★★☆
タイトルはラテン語でそういう意味の祈りの言葉なのだそうだ。
私も前のレビュアーの方と同じく、紺野氏の描く世界の雰囲気が好きで読む。あちこちに書いているが、長野まゆみ氏の世界が好きな方にお勧めだ。疲れて字面が追えないようなとき、同じ雰囲気に浸れる。
一番のお勧めは「天使も踏むを恐れるところ」。これは完全にBLだが、これが成り立つとしたら、それはクラリッサが言うように一種の楽園であるだろう。妻と夫は最高の「親友」で、夫の友達はそれ以下の「愛人」。男性には皆目わからんだろーが、女なら、こんな自分の「王国」を持ってみたいという夢想が、誰にもちょっぴりありはしないだろうか。
一冊まるまるファンタジー
★★★★★
大好きな一冊です。
短編1作と連作3作が入ってるんですが、
一冊を通してお伽話のような幻想的な世界観が広がっています。
紺野さん独特のファンタジー世界…なので、読む人を選ぶかもしれない…
私も中盤のお話だったら星3つと言ってしまうかも知れません。
が、この本を五つ星でお薦めする最大の理由がありまして、
それが最後に収録された「天使も踏むを恐れるところ」という全後編のお話。
寄宿舎の時代からの親友同士の微妙な恋心を描いた作品です。
英国貴族だとか寄宿舎だとか…お好きな方には嬉しい設定ですが、
それ以上に、お互いが大切すぎて友情の一線を踏み越えられない心情が本当に切なくて…
「恋するものは、いつも弱者だ」というモノローグに、全てが集約されている気がします。
全体的にパッション溢れる…てわけではなく、本当に淡い感じなので、
濃いBLを求めてる方にお薦めできないのは私も同感です。
ただ淡くて切ない感情を柔らかいタッチで繊細に描いているところが、
この作品だけではない、作者の持つ魅力だと思います。
ほのぼのして、どきどき。
★★★★☆
寄宿学校、ボーイソプラノ、秘密の合い言葉・・・
ちょっとレトロな雰囲気の舞台設定に、あっさりほのぼのした絵が魅力的です。
よくあるボーイズラブもののような過激なシーンはありませんが、少年達の友情・淡い恋心にどきどき。
忘れていた初恋を思い出させてくれるような、そんなボーイズラブコミックです。
ボーイズラブを読み慣れている人にはちょっと物足りないかと思い、星4つにしました。