やられっぱなしでは終わらせない!
★★★★★
まさに大反撃!いままでやられっぱなしだったダナン一行とソースケ、かなめ、そしてアルが見事に復活し、彼らの強さが紙面からあふれんばかりの展開でした。
ソースケは再び自分にムチ打って戦士として、
かなめはかつてのような強気で不屈のお転婆として、
そしてアルはソースケの頼もしくも偏屈な相棒ASとしての復活を遂げました。
お互いに離れ離れにされた中での会話シーンは涙さそうも今後の展開に期待せずにはいられない、素晴らしいものでした。
作者である賀東先生は以前あとがきに「そういえば鬱な展開の作品がやたら流行ってから十年経つのだなあ」的なことを書いていらっしゃいました。
この時点で、「フルメタは最後まで鬱な状態では絶対に終わらせないぞ!」という意思表示だったようにも思えます。
これから終盤に向けての猛スピード展開に目が離せそうありません。
コントラスト
★★★★★
前巻「燃えるワン・マン・フォース」と並べて読むと面白さが際立ちます。
旧式<サベージ>で新型<ガーンズバック>を退けるなど、最強メカの性能頼りきりの
どこぞのロボットアニメの軟弱主人公とは比較にならぬ戦闘技能を持つ宗介が
いよいよ新たな剣<レーバテイン>で大暴れ!
でもこの機体、ラムダドライバを駆使したガチンコバトルに特化した欠陥機だったり…。
旧式の機体特性を生かした戦法を見せ付けてくれた宗介がそれを知った時のスッコケぶりは
万能無敵メカなどは存在しないフルメタワールドの象徴といえます。
最後は前巻ラストの自分の業の深さからくる宗介の孤独と絶望感を
かなめの開き直りがひっくり返してくれる爽快さ。
困難はまだまだ多いが、四の五の言って悩むより前に進め!
ストーリーもいよいよ佳境へ
★★★★☆
少し脇道に逸れていた感じの流れが、一気に本線に戻ったような展開です。
テッサを中心とする、ミスリル最後の残存兵力であるダナン一派の動きを皮切りに、
相良軍曹がいよいよ頭を上げて、いつぞやの不良親父連中の協力の下にかなめを追い始めます。
かなめもかなめで、ようやくウジウジしていた状態から抜け出し、らしさを取り戻します。
タイトルのごとく、ようやく再集合したウルズトリオ。
実戦闘力特化型の機体「レーバテイン」。
圧倒的なまでに開いてしまった組織の差をどう乗り越えるのか……カリーニンの動向をはじめ、今後の展開が非常に困難に思える描写の数々の中、動きつどい始めた希望がどのように道を進んでいくのか?
終幕に向け幕を上げた、そんな一巻だと思います。
炎の絆
★★★★★
角川書店・富士見ファンタジア文庫刊
賀東 招二著作「フルメタル・パニック!」の長編シリーズ第9作
『つどうメイク・マイ・デイ』を収録した文庫本です。
サンフランシスコ南部にある病院で一人の少女が保護された。
髪は乱れ、頬はツヤを失い、唇は乾き、うつろな瞳に生気は感じられない。
その患者の担当医マーサ・ウィットは彼女に優しく尋ねた。
「あなたの名前は・・・?」
「テレサ・・・テスタロッサ」
衝撃的な冒頭から始まる本作。
第8作「燃えるワン・マン・フォース」から14ヶ月。
ついに放たれた372ページの長編が織りなす反撃の物語は読み応え絶品。
壊滅的、絶望的な状況をもねじ伏せる彼らの意地の全てが
随所に散りばめられており、読み進める手が止まりません。
壊滅したメリダ島からトゥアハー・デ・ダナンで脱出したミスリルのメンバー。
何をされるわけでもない幽閉状態の千鳥かなめ。
筋力は衰え、瀕死の重傷を負った相良宗介。
3つ巴の視点が次第に絡みつき、戦えるだけ戦ってから死ねと訴えるような
青く静かに燃えるその熱き生き様に興奮します。
そして、ついに登場する新型アーバレストともいえる炎の剣・ARX-8「レーバテイン」。
ラムダドライバを駆使し、異常すぎる機動力とありえない攻撃力で
ベヘモスすら圧倒する機体能力に驚かされます。
しかし、全くの完全無欠ではなく、穴のあるじゃじゃ馬設定が
うまくお話にバランスを取っている感じが巧みですね。
彼は銃弾に倒れ、匂わせていた反逆者が名乗りを上げ、二人は強い絆を取り戻し
物語は次巻へ続く・・・と思いきや、長編第1作「戦うボーイ・ミーツ・ガール」から
完全に置き去りにされていた彼女がエピローグで脇を固め、さらに驚愕必至。
読者の期待と予想をさらに上回る、力強い描写と緻密な構成力で見せる
作者の器の大きさに感嘆しました。間違いなく必読の一冊です。
反撃開始
★★★★★
OMO、OMFと欝展開が続きましたが遂に宗介たちの反撃が始まります
宗介とミスリルも合流して新型AS ARX―8〈レーバテイン〉も登場!
最後のかなめと宗介の無線のやり取りは今までフルメタを読んできた人は感涙すること間違いなしです
南風を聞きながら読んでみてください