わかる人にはわかるだろうが、この作品、実は手塚治虫の『ブラックジャック』によく似ている。その道のエキスパートだがアウトロー(時に義理人情を重んじる)という点では藤田とブラックジャックは重なるし、サラとピノコの作品上での役割もどことなく似ている。主人公の前に現れるライバルたちが曲者で魅力的なのも同様である。
だが、二つの作品は違う。作品を作るにあたっての基盤は同じだが、作者の個性の顊??いがあるからだ。ブラックジャックが孤独に包まれた悲劇的な人物であるのに対して、藤田はそうではない(喜劇的ではないのだけれど)。その前に美術と医学というジャンルの違いがありますが(笑)。建物でいえば完璧な設計であることでは同じだが、デザインが全く違うということでしょうか。
巨匠・手塚治虫が書いた傑作のレベルに達している細野不二彦の『ギャラリーフェイク』。間違いなく「買い」です。