「一曲入魂」に相応しい名曲が誕生したと言えるでしょう。

阿木燿子＆宇崎竜童の黄金コンビによる作詞・作曲ということで、
これまでの彼女らのライブラリーにあったその作風にも当てはまらない、昭和歌謡ロックを響かせている。
作り手も、演じる側も本気でぶつかり合ったことが伺える、実に魅力的なコラボレーション。

否が応にも山口百恵を彷彿とさせるその楽曲を、様々なアプローチからSCANDAL色のある現代版へと昇華させています。
「写メ」などの単語の登場する詞や、MAMIまで加わった3人によるボーカルの鬩ぎ合い、ますます成長している演奏はその代表格でしょう。

3分ちょっとの曲ながら次々と展開を変えて疾走する感覚は素晴らしい。



ただそれだけに素晴らしい楽曲であるだけに、細かい点も気になりますね。
いくらSCANDALサイドが"どれか好みの形態を一つ買ってください"と言っても4形態はちょっとどうだろう。
それぞれに付属するCLIPも、わざわざ製品化するほどの魅力があるかというとやや微妙なところ...

それから、今回は非常に有意義なコラボレーションになったものの、あくまで企画物としてやってもらいたい部分はある。
今作がオリジナルアルバムに収録されるのが想像つきにくいように、SCANDALに比べあまりに製作陣の色が強すぎるのだ。
"楽しければなんでもアリ"な姿勢はもちろん素晴らしいことだとは思うが、
SCNADALはTOMOMIの詞で十二分に魅力的だし、あわよくばもっと作曲を含めた制作にも関わっていくべきだと思う。


11月にはカバーミニアルバムも発売で、ちょっとオーバーワーク気味なのも心配なところ。
本人たちが非常に頑張っているだけに、ソニーにはしっかりと彼女たちを導いてあげねばならない義務があるだろう。