【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:田中啓文/著 出版社名:東京創元社 シリーズ名:創元推理文庫 Mた6-1 発行年月:2008年07月 関連キーワード:ラツカ スル ミドリ ナガミ ヒタロウ ノ ジケンボ ソウゲン スイリ ブンコ M-タ-6-1 らつか する みどり ながみ ひたろう の じけんぼ そうげん すいり ぶんこ M-た-6-1、 トウキヨウ ソウゲンシヤ トウキヨウソウゲンシヤ 5147 とうきよう そうげんしや とうきようそうげんしや 5147、 トウキヨウ ソウゲンシヤ トウキヨウソウゲンシヤ 5147 とうきよう そうげんしや とうきようそうげんしや 5147 唐島英治クインテットのメンバー、永見緋太郎は天才肌のテナーサックス奏者。音楽以外の物事にはあまり興味を持たない永見だが、ひとたび事件や謎に遭遇すると、楽器を奏でるように軽やかに解決してみせる。逆さまに展示された絵画の謎、師から弟子へ連綿と受け継がれたクラリネットの秘密など、
肩の力を抜いて読める。
★★★★☆
余計なこと考えずすいすい読める。後味のよい作品。
続編も出ているようだから読んでみようと思う。
個人的にはお勧めCD紹介はなくてもよかった。
ジャズと犯罪
★★★★☆
2005年に出た単行本の文庫化。7本の短篇が収められている。
実は田中氏のデビュー作は鮎川哲也編『本格推理2』に採用された「落下する緑」であった。しかし、デビュー後はジュヴナイル作品へと進んでしまったため、「落下する緑」に登場する名探偵・永見緋太郎もずっと忘れられていた。ところが、2003年に『ミステリーズ!』で連載する話が持ち上がり、奇跡の復活を遂げたのである。
永見はテナーサックス奏者。ジャズ界を舞台にしたミステリとなっており、ストーリーも音楽、楽器、コンサートを扱ったものが多い。著者の趣味の世界でもあり、凝ったディテールが面白い。
ミステリとしては、いまいち。「揺れる黄色」のトリックが素晴らしいが、あとはちょっと・・。がくっと脱力してしまうような結末も少なくない。ただし、物語としてはどれもハイレベル。ひねりがあり、人間ドラマがあり、ジャズの魅力が伝わってくる。
田中氏に特有のギャグとグロは控えめで、初心者でも安心して読める。
おすすめのレコード紹介も。
田中啓文の「日常の謎」系本格
★★★★☆
田中啓文が「日常の謎」系本格を書くというと、何か意外な感じがします。実際編集者からこの本の依頼があった時、
1.グロ
2.ギャグ
3.駄洒落
を禁止されたそうです。1.はおおむね抑制されていて、2.もかなり我慢しているようですが、さすがに3.の禁止則までは守りきれなかったようです。ともかく、編集者氏と作者のがんばりのおかげで、家族の目に触れても支障がない、誰かに勧めても白い眼で見られることを恐れなくてもいい、そんな(田中作品としては珍しい)一冊になっています。
筋立てとしては、ずーじゃもといジャズのテナーサックス奏者が探偵、バンマスのペット奏者がワトソン役になって、バンドの周囲におこる「日常の謎」を解いていくというシリーズです。それ以外は普通の本格ものですが、舞台が舞台だけに、それなりにアレな登場人物が出てきますから、飽きません。おまけに解説はなんと山下洋輔!
ジャズを知らなくてもついていけますが、ジャズを知っているともっと楽しめ、楽器の経験があるともっともっとおいしく読めるでしょう。本人が謎のテナー奏者なので、探偵もテナー吹きなのでしょうが、次はボントロ奏者を肴にしてくださいな。
すっきり、後味よろしいかと思います
★★★☆☆
ジャズバンドの一流のトランペット使いが語り手、同じジャズバンドの浮世離れした、若きサックスプレイヤーが、探偵役となり、出会ういろいろな意見を解決していく話です。7編の短編です。音楽の世界(楽器が壊れた)、絵画の世界(展示会での珍事件)、小説の世界(幻の原稿)など、芸術界で起こる不思議な事件を扱ったものです。
語り手と主人公が、ジャズマンであるためか、ジャズのシーンが沢山出てきます。
知っていたら楽しいだろうな、、という印象ですが、知らなくても、熱気みたいなものが伝わってきました。
悲惨な事件が少ないためか、探偵役のキャラクターのためか、あっさりして、読んだ後気分よかったです。目を見張るトリックとかはないですが、安心して読める本でした。
直木賞候補に名前が出る日も近いかも。
★★★★★
著者のデビュー作である「落下する緑」をはじめ、「揺れる黄色」「反転する黒」「遊泳する青」「挑発する赤」「虚言するピンク」「砕け散る褐色」と、全てが色繋がりのクールな題を持つ連作。『音楽ミステリー』という、いかにもありそうでなかったジャンルを打ち立てることに著者は本作で大成功している。ここまで見事にジャズとミステリーが融合するとは。音楽に詳しくない人でも、文章に確かな表現力を持つ著者の華麗な演奏描写を読んでいるだけで心地いいはず。もちろん物語として読んでもかなりの完成度。特異な魅力を持つある一人の人間を、語り部である主人公が描写するという手法、そして最後に残る爽快感や温かみは伊坂幸太郎にも通じるものがある。必読です。