孫子と並び称される兵法書『呉子』は、日本でも武経七書として古くから親しまれております。
呉子は、孫子に比べて、組織編成、心の持ち方に特化しており、逆に孫子ほどの戦略性はありません。しかし、応変第五には、多彩で具体的な戦術も書かれており、読み物として面白く、また、孫子に書かれていないことを補っているという点からも、読む価値は十分にあります。
こちらは、書き下し文、現代語訳、解説を付けた完訳版となっております。
現代語訳は務めて平易なものとし、解説も順を追って古典を現実生活に役立てれるように工夫しました。
また、『史記』『韓非子』から、『呉子』の著者とされる呉起に関する部分を全て抜粋し、現代語訳を付録としました。十分に『呉子』のことを知っていただけるかと思います。

呉子は、孫子に比べて有名でないので、全ての篇名と章題をここに全て書き出し、内容がある程度分かるようにしておきます。

図国第一
第一章　内に文徳・外に武備
第二章　不和こそ最大の敵
第三章　四徳ありてこそ
第四章　勝つ者は亡びる
第五章　五種の兵
第六章　人材を見極めよ
第七章　戦うまでもなく既に勝つ
第八章　友多く師多きこそ宝なり

料敵第二
第一章　六国を料(はか)る
第二章　可を見て進み、難きを知って退く
第三章　外を観て内を知る
第四章　必ず撃つべき敵

治兵第三
第一章　四軽二重一信
第二章　治まれば勝つ
第三章　治の因りて生ずる所
第四章　猶予最大
第五章　教えるが先
第六章　適材適所
第七章　不利は避けよ
第八章　馬は慎重に扱え

論将第四
第一章　将軍の礼
第二章　四つの機
第三章　耳目心に清明厳
第四章　弱点を見極めよ
第五章　正体不明の将軍

応変第五
第一章　応変に至る道
第二章　寡を以て衆を撃つ
第三章　最強の軍隊
第四章　退路無く敵多し
第五章　先手必勝
第六章　谷戦の法
第七章　水戦の法
第八章　そもそも論
第九章　賊軍の来たりて
第十章　攻城の後

励士第六

付録　『史記』　巻之六五・孫子呉起列伝

付録　『韓非子』