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良い財政赤字 悪い財政赤字

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: PHP研究所
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「良い」「悪い」という本書のタイトルは、非常にパラドキシカルに思える。しかし、大蔵省主催の「21世紀初頭の財政政策のあり方に関する研究会」でも、すでに「良い財政赤字と悪い財政赤字」という議論がなされた。そこでの論旨は、成長期を迎えつつある国では、投資の伸長が見込まれることから、勢い財政は赤字になる。一方、すでにピークを過ぎ衰退期を迎えた国家では、貯蓄が減っていくことから、経常収支も赤字になっていく。その意味において、日本の経常収支の赤字は不可避だが、これを投資の伸長に振り向け、成長へのポテンシャルを向上させよう―― というものだ。
これに対して著者は、資産価値の暴落のなかで借金だけが残る、という現在のバランスシート不況下においては、「禁じ手」こそが功を奏するという観点に立って鋭いメス裁きを発揮。日本の現状を見ない内外エコノミストの「俗説」に対して、「財政赤字のプラス効果」を説いている。本書は、バランスシート不況の分析を通じて、財政赤字の中身を問い返し、さらに金融政策の再吟味と具体的な処方箋を提示。次いでアジア経済、アメリカ経済の動向分析と日本の関係を説きながら、今後日本企業が戦略や組織において、いかに強固な体質づくりを図っていくべきかという、具体的な施策にまで言及している。
IT革命と国際化のなかで、日本経済再生の原動力を担うのは、いわゆるオールドエコノミーと称される企業群の変革である。だからこそ経営陣は、著者が力説する「財政赤字をプラスに転じるための視座」を確立し、明日に向かう大胆な舵取りを進めていく必要があるのではないだろうか。(太田利之)