芝谷銀座商店街前編
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携帯向け配信サイトで好評を博した『痴漢電車日記』の作者、小玉オサムの作品。
芝谷銀座商店街は二車線道路を挟んだ全長七百メートルに及ぶ昔ながらの商店街だった。道の両脇には古ぼけたアーケードが続いているが、ところどころ新興のマンションに寸断され、統一感はない。軒下に並ぶ提灯には埃がかぶり、その下を歩く人影もまばらだった。
商店街で八百屋を営む北野、その同級生である岩崎、愛川、後輩にあたる西沢、幼馴染であるこの四人をとりまく人間模様を描いた長編小説。西沢以外は結婚しているが、北野はヤリチンで男を見るとナンパせずにいられない。元はその北野に手を出され目覚めた岩崎は年若い恋人本多と不倫関係を持っている。愛川は唯一のノンケだったが、西沢は昔から想いを寄せていて、愛川の妻の死をきっかけに二人は関係を持つようになる。
ゲイでありながら結婚し子供をもうけ、それでいてスケベ心を忘れない北野、ノンケとわかっていながら愛川に想いを寄せ、体の関係はできても心は寄り添えない無力感に苦しむ西沢、父から継いだ工場が順調で金は持っているが、家庭は崩壊寸前で、年若い恋人に振り回される岩崎、四人それぞれの問題が芝谷銀座商店街を舞台に絡まりあう。
初出『サムソン』。六回連載の第1話から第3話までをまとめてあります。全二回の前編。