人に高校数学を教えようとして数学の教科書を買おうと思ったら、これが全部で６冊もあって３８７５円もする。こりゃ高い。それで調べて見つけたのが『精説高校数学』。全部で４冊にまとめてあり値段も２９８０円。こっちの方が安いし、おまけに中身が濃いらしいから、お買い得である。
　読んでみるとこれが至れり尽くせりの内容で、実に丁寧に細かいところから説明してくれていて、教科書的な無味乾燥ではけっしてない。定理や公式も具体的な例から分かりやすく導いてくれていて、参考書にはとても望めない丁寧さだ。
　例題のあとの問や練習には解答がないが、それらは例題の数字を変えただけの問題であり、しかも暗算で出来るものが多いから、解答は必要がないのである。逆にこのレベルで解答がないと困るのは、それまでが何もわかっていない証拠である。
　レベルの高い章末の問題や演習問題には解答が付いていて、これらも手順を省略せずに丁寧に勉強していけば解けるものばかりだ。本当にいい本を見つけたと思う。

数学の検定教科書には，
・入試レベルとの差がある
・指導要領のため，内容に上限がある
・I, II, III, A, B, Cの区切りで接続が悪い
・高校生以外の入手が難しい
・解答が不親切で，数学が苦手な人は，独力では身に付かない（教科書ガイドで解決可）

などの欠点があります。本書では，以上のうち，上の4つが解決されています。
　指導要領にとらわれずに単元の仕分けを行い直し，入試レベルとの接続を良くしていますし，一般に売られているため誰にでも購入できます。
　これで解答が親切ならば文句はないのですが，解説が不親切なのが本書の最大の欠点です。問にいたっては，解答すら無いですし，教科書ガイドも発行されていません。これでは，大多数の人にとって，独習は非常に難しいです。
　以上のことから，身近に解説してくれる人がいる場合，および問の解説が無くても独習できる自信のある人には良いかもしれませんが，数学が本当に苦手だという方は，本書よりも，市販の基礎レベルの参考書をオススメします。

　なお，本書の範囲は，数と式(分数式含む)，方程式と不等式，2次関数，複素数と方程式，順列と組合せ(場合の数)，確率(一部数C含む)となっています。

教科書に加筆されたようなものです。
受験参考書では割愛されているような内容も含まれます。

いわゆる「数学の教科書」そのもののイメージなので
華やかさはありませんが、基礎から網羅されています。

ちなみに印刷もモノクロですし、紙も教科書と同じ材質です。
（※練習問題が数研出版の教科書と同じかどうかはわかりません…）

受験用参考書ではないので、教科書＋αを望む人や
社会人がもう一度数学をやり直すのにもよいです。

もしくは基礎から教える塾のテキストとしても良書と言えるでしょう。


【収録単元】
数と式（数I・数II）
方程式と不等式（数I）
2次関数（数I）
複素数と方程式（数II）
式と証明（数II・数A）
順列と組み合わせ（数A）
確率（数A・数C）