上等なピカレスク
★★★★★
タイトル通りのピカレスク。とーぜん主人公はヤクザの上前ハネるよーなはみ出し刑事。
ピカレスクってのは主人公の魅力に負うところ大なジャンルだが、本書の主人公佐脇はナカナカ。ワルだが、ことさらにワルぶりはしないし、ニヒル気取りもしない。ハスに構えてるんじゃなくって、単にやりたいよーにやってるだけってのが伝わってくる。ソコがイイ。
相棒の死から始まった事件がどんどん大掛かりになってゆく筋書きもテンポがよく、容易に先を読ませない。
元々が官能小説書きの安達選手なもんでセックスシーンはかなーり濃厚で、登場する女性も女子高生から人妻に熟女、さらには代議士夫人まで、と幅広く抑えてる。とーぜんそれぞれにしっかりした造形がなされてて、魅力的な女性たちばかり。
最後のピンチの原因が結局女であるってあたりもこの主人公らしくてナイスだし、ケリの付け方も鮮やかだ。
お気楽に楽しめる娯楽小説として、充分満足できる一冊。濡れ場がおキラいじゃなけりゃまんべんなくオススメできちゃう良品。
なお、作者は男女合体作家なんで、濡れ場も含めて男女の関係には女性的なセンスも生かされてる。つまり、女性が読んでも楽しい作品ってコト。実際、強くて(ケンカもセックスも、ネ)身勝手で、でもけっこ女心に敏感な悪漢刑事佐脇は、むしろ女性にこそモテるタイプじゃまいかって思う。